概要
僕は文化のために文化を恨む。又三郎ここにあり。
俳優の門野純は、五年ぶりに浅草に来た。元芸人仲間の鳴上と酒を飲んでいると、風神の噂を聞く。雷門に突風が吹き、「文化のために文化をうらむ」という風神の声がするという。門野純は、その言葉に聞き覚えがあった……。芸人として生きられなかった男の嘆きが、夜半の浅草に響く。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!風の音は、芸術の萌芽を孕んでいるのです。
純粋に面白い。
形式を借りて、でもそこにとどまらず、
あらたな領域へと変換している。
これぞパロディの真骨頂なのだと思います。
実に洗練されている。
緊張感とともに、一種の緩さが連動していて、
物語が二重で進んでいるかのような錯覚を得ます。
それは、拝借している背後にある小説の重み故、
というのもありますが、
それを巧みに操作している(?)作者様の実力故だと思います。
ぬあぁ、なるほどなあ、と感心しました。
ネット小説という世界には馴染み難いかもですが、
試みとしてはとても面白いし、
小説そのものも実に面白いです。
真剣な試み、実験的な創作が、
もっともっと増えればいいなと思いまし…続きを読む