蚕は美しい絹の糸を吐きます。それは本来ならば、繭になるもの。いつか蛾になるためのもの。やがて彼らは、その美しさに魅了された人に、供物のものにさせられる。中身を掻き出される存在か。繭ごと茹でられる存在か。はたまたは種を保存するために交配させられる存在となった。『芋虫』の男は、「ユルス」と言った。『芋虫』だと自覚した彼女は、世界を許さない。乱歩の『芋虫』を読んだらまた別の印象を持つのでしょうか。とりあえず今は、大人の力で繭を壊されたのではなく、自ら飼育箱ごと壊して生きた少女の話だと結論づけます。
KAC20211参加作品おうち時間という単語の可愛らしさから描かれる人間の内面や怖さ。その対比から来る何とも言えない魅力が詰まった作品でした。ゆっくりと読んでみてください。
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