蚕は美しい絹の糸を吐きます。
それは本来ならば、繭になるもの。いつか蛾になるためのもの。
やがて彼らは、その美しさに魅了された人に、供物のものにさせられる。
中身を掻き出される存在か。
繭ごと茹でられる存在か。
はたまたは種を保存するために交配させられる存在となった。
『芋虫』の男は、「ユルス」と言った。
『芋虫』だと自覚した彼女は、世界を許さない。
乱歩の『芋虫』を読んだらまた別の印象を持つのでしょうか。
とりあえず今は、大人の力で繭を壊されたのではなく、自ら飼育箱ごと壊して生きた少女の話だと結論づけます。