創作意欲が湧くか、力の差を見せつけられて筆を折るか、そのどちらか。

物書きなら後者かもしれません。作者様の圧倒的な文章力に息を飲みます。
作中の文章をお借りするならば、圧巻。まさにこの言葉がぴったりです。
物語は古アパート「羊山荘」の小さな空間で展開していきますが、そこに住む住人たちの何とも言えない人間らしさが、ここに大きく広がっています。
繊細かつ曖昧な人間関係や、登場人物それぞれの悩み、葛藤、憧れなどがこれでもかと描かれており、まさにヒューマンドラマです。
会話の間に差し込まれたちょっとした描写が、嫌みなくするりと入ってくる感じや、ひねくれた思考回路が堪らなく愛しく感じてしまうキャラ作りなどの虜になること間違いないと思います。
明るい物語だとは決して言えませんが、人間くささでいうと一級品です。
文学的硬い文章を食わずに嫌うよりは、一度食べてみてからその良し悪しを決めて欲しいと、切に願います。
完結するまでゆっくりと登場人物たちの物語を楽しみたいと思います。

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