絡まり合った”げん”が解けた時、世界はどんな色をしているのだろう

夢折れた元アイドルの少女は幾度となく自分を殺しながら泣いていた。
笑顔さえも殺し、巡る運命に翻弄されながら、それでも必死に生きようと戦い続ける物語。

すみません、私の文章力ではこの物語のあらすじを簡潔に書く事が出来ませんでした。
何処を切り取る事も、省く事も出来ず、全てがこの物語にとって重要なシーンだったからです。
それ程までにすべてが濃い作品でした。

多くの物語を読んでいると、中にはある程度結末を予測出来てしまうものもあるかと思いますが、こちらの物語は斜め上をいく結末が待っております。
読み進めていくにつれて、徐々に明らかになっていく世界にゾッとしました。
緻密に作り上げられた設定、巧みに隠された謎の回収、まさかの繋がり。
その狂気めいた作者様の世界観がなんとも甘美でした。

また、ハイセンスな言葉選びと、引き出しの多さに驚愕しました。
タイトルの「げんとげん」――なるほど、ひらがなの理由に納得です。

いい意味でゾッとしたい方、是非読んでみてくださいませ。

最後に、遅くなりましたが完結おめでとうございます。
素敵な物語を有難う御座いました!


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