禁足地

江川太洋

禁足地

 数年前のことだが、僕は就活に失敗して、大学卒業後も深夜清掃のバイトをしていた時期があった。仕事は二人一組のシフト制で、出向先は都内のファーストフード店だった。時給こそ高額だったが、それでも割に合わない劣悪な汚れ作業だった。

 当時の僕もそうだが、シフトで組んだ人の大半が、社会のレールから外れたような人ばかりだった。自分を猫の生まれ替わりと真顔で言い、突然大声で猫の鳴き声を発する中年男や、狭い厨房でいきなり奇声を発してモップを振り回すヤンキー上がりの若者みたいな人たちだらけの中で、Oさんみたいなまともな人もいた。

 Oさんは、僕がバイトの最後の時期によく同じシフトになった人だった。四十半ばほどのOさんは、見た目も物腰もサラリーマンみたいだった。初対面の時に、一般企業で十分勤まりそうな人が、何故こんなドブ板仕事に就いているのか疑問に思ったが、更衣室で清掃着に着替えている時、ゴム手袋をはめようとしていたOさんの左の小指が欠けているのを見た僕は、あっと思った。

 この仕事はすねに傷を持つ人が多いし、僕は怖かったのもあって、小指の件が気になりながらも、Oさんにそのことを直接尋ねたことはなかった。

 僕とていつまでもこんな仕事をするつもりはなかったので、並行して就活も続け、食品販売メーカーへの採用が内定した。僕がそのことをOさんに話すと、Oさんはとても喜んで、是非お祝いをしたいと言ってくれた。僕は素直に言葉に甘え、十一月の休日のある寒い夜にバイト先の駅で合流して、駅前の焼き鳥屋でご馳走になった。

 酒で口が滑らかになった僕たちは互いの境遇の話に花が咲き、Oさんがその筋の人間でも何でもなかったことが一発で分かり、僕は素直に納得した。

 これが聞く最後のチャンスだと思った僕は、思い切ってOさんに小指のことを尋ねてみた。するとOさんはあっさり、事故だと答えてくれた。工業高校を卒業後、旋盤工になったOさんは作業中の事故で、機械に小指を巻き込んで指を切断したのだという。当時の上司が床に落ちた指を拾って慌てて病院に持って行くと、指を渡された医者が、「別に持って来られても、もうくっ付きませんから」と言って、上司の目の前で平然と指をゴミ箱に捨てた話を、Oさんはにこにこ笑いながら話してくれた。

 指を機械に巻き込んだ理由を、勝手に指が動いた、とOさんは答えた。それはこういうことらしい。

「たまに、勝手に筋肉が痙攣けいれんすることってない? 不随意運動っていうか、一瞬ぴくっとるみたいな。ちょうど旋盤を動かしてる時に、木材を押さえてた小指が勝手にびくって痙攣して。あっと思った時には、もう飛んじゃって」

 僕は、そんな時に不幸ですね、と言った気がする。するとOさんは、第一関節がなくなった自分の小指をしげしげ眺めながら、こんなことを言った。

「不幸というのとは、ちょっと違うかも。変な話に聴こえるだろうけど、こうなる予感はあったから」

 わけが分からずに僕が訊き返すと、Oさんははっきりこう答えた。

「この小指ね、中学の頃に、もう喰われちゃったから」

 僕が首を傾げるとOさんは笑って、話半分に聞いてねと前置きしてから、当時の出来事を話してくれた。それはOさんが中学生の頃の話だった。

 中部地方にあるOさんの地元は、山のふもとの田舎町だった。周囲は森や雑木林だらけだったのが土地の分譲ぶんじょうが盛んになって、次々と雑木林が切り拓かれていく中で、全く手付かずの場所もあった。

 そこは地元では有名な禁足地で、森深い山の中腹の神社跡地だった。Oさんの親の代から、そこは荒れ放題の廃屋と化していたそうだ。その神社は長くて急な石段を登った先にあり、境内の裏は沼地になっていた。その神社は、沼の何かを封じ込める為に建立こんりゅうされたと言われていた。

 そこは境内で誰かが首を括った事件や、禁足地に行ったきり失踪した児童の話みたいな不吉な噂が後を絶たず、一度敷地が取り壊されたこともがあったが、工事は一月も経たず中止された。原因不明の怪我人が続出したからという理由だった。

 Oさんが中学二年の二学期に、東京からMという男子が転校してきた。ちょうど世はバブル期で、日々放送されるバブルに狂奔する東京の威光を、Mは教室に持ち込んできたかのようだったという。クラス中から持てはやされ、密かに恋心を抱いていたKという女子までなびくMを、Oさんは毎日苦い思いで眺めていたという。

 MとKと一緒の掃除当番になったOさんが放課後に教室を掃除していると、KがMに境内裏の禁足地の話をした。禁足地の話を初めて聞いたらしいMは、カビ臭いローカルネタと一蹴してKを小馬鹿にした。その態度に怒ったOさんが思わず、では一人で禁足地に行けるのかとMをあおると、幾らでも行ってやるとMが返してきた。Kは二人のいさかいを冷ややかな目で見ていたが、引っ込みの付かなくなったOさんは言い合ううちに、Mが禁足地に行ったか現地で見届ける羽目になってしまった。数日後の夜に、山に続く坂道の突き当たりの鳥居前で集合することになった。

 九月下旬のその夜は、黄色くて大きな満月が浮かんでいたという。神社へ向かう山道は寂しかった。途中から点在していた家もなくなって次第に雑木林に覆われ、上空で梢が重なって月光も殆ど差さなくなった。その闇の濃さに怯えながら、Oさんが闇より濃いシルエットになった鳥居に着くと、先にOさんに背中を向けて鳥居の前にいたMが、はっとOさんを振り返った。振り返ったMの顔は強張っていて、それを見たOさんは急に自分も怖くなってきた。本当は二人とも引き返したいくらい怖かったはずだが、互いに意地を張ってしばらく無言で鳥居の前に立っていた。

 Oさんは、この鳥居は本当に結界なんだと思ったらしい。鳥居をまたいで伸びる石畳の奥には、何かがじっと息を潜めているような気配がこもっていて、鳥居を隔てて明らかに空気が違うことをOさんは肌で感じたという。

 気持ちが挫けかけたOさんが、本当に行くのかMに訊くと、Mは行くと答えた。ではここで見届けるから、木の枝でも何でもいいので、境内から証拠品を持ち帰るようOさんが告げると、Mはお前も来ないのかと煽ってきたが、自分はあくまで確認役だとOさんは言い張った。チキンが、とMが言ったが、そう言った当人の顔が引き攣っていた。

 Mはその後もうだうだOさんに絡んできたが、ついに肚を決めて鳥居をおずおずと潜った。石畳を歩いて闇に消えていくMの背中を見ながらOさんは、反射的に引き返せと叫びたくなったそうだが、結局言えなかったと小声で零した。Oさんは遠い目をしながらこう言った。

「今でも思うよ。あの時しようもない意地なんて張らずに、素直に引き返せって言えてたら。ひょっとしたら、そこから仲良くなってたかも知れないし。今となっては、そんなのただの、たらればなんだけど」

 Oさんの思いをよそにMは石段を上り、生い茂る梢と闇の向こうに消えていった。鳥居の前にいるだけでこれほど怖いのに、さらに石段を上っていくMの度胸にOさんは驚嘆した。自分は行けと脅されても、絶対にこの鳥居を潜れないとOさんは思った。

 ところが、幾ら待ってもMは降りて来なかった。この当時は携帯電話も普及しておらず、Oさんは時計も持ってきていなかった。こんな状況では時間が異様に長く感じられることを差し引いても、あまりにも遅過ぎると思ったOさんは、何度か大声でMを呼んだが返事は全くなかった。そのまま放置して帰るわけにもいかず、Oさんは勇気を振り絞って鳥居を潜った。

 鳥居を潜った瞬間、もう空気が違うのを感じてOさんは気持ちが萎えかけた。その夜は涼しかったのに、空気が一気に熱帯夜並みに湿っぽくなった。それが濡れ着みたいに肌にまとわり付いて、いるだけで悪寒がしてきたという。数メートル先も見えない闇の中、風で梢がうねる感じが伝わってきて、枝葉のざわめきと共に山が鳴動しているようにOさんには感じられた。

 石段は暗くて殆ど視界が利かず、手摺りがなければ確実に落ちていたとOさんは言った。石段の脇の下生えが、時折がさがさと音を立ててうごめいていたという。Oさんが石段の幾つかある踊り場の一つに差しかかった時、付近の下生えを掻き分けて何か白いものが見えたという。それが見えたのはほんの一瞬だけで、すぐ下生えに潜ってしまったそうだが、Oさんの目にはそれが焼き付いてしまった。Oさんが見たものは、顔色が真っ青で断末魔に歪んだ、髪の長い女の顔だったという。

 その顔に一端気付いてしまうと、実は梢の中などに点々と、明らかに生きていない人たちの顔が浮かんでいることに気が付いて、Oさんは心臓が止まるかと思ったという。今まで幽霊など見たこともなかったOさんは、いよいよ自分が人が踏み越えてはいけないしきいを超えたことを自覚した。自分一人で逃げようと思ったが、今から一人で石段を駆け下りるのは怖過ぎた。それよりはMを見付けて、二人で逃げた方が良いとOさんは考えた。

 この場所に取り込まれた亡霊たちが点々と蠢く中、Oさんは石段を登り切った。石段の先にも入口よりも一回り小さな鳥居があり、そこを潜ると僅かな平地に強引にこしらえたような狭い境内があり、すぐ右手には荒廃しきって外壁の木材が反ってしまった社務所跡があった。円型の境内は頭上に木がないので、その一帯だけスポットライトのように黄色い月光に照らされ、月光の向こうに山肌を背にした本堂のシルエットが見えた。本堂は外壁がつたに覆われ、瓦屋根はところどころ崩落し、外れかけた引き戸の奥から闇が覗く、惨憺さんたんたるありさまだったという。

 本堂の背後はすぐ雑木林になっていて、その奥が禁足地と呼ばれる沼地らしかった。境内にMの姿はなく、崖から飛び降りる気持ちでOさんは開いた引き戸からお堂の中も覗いたが、外れた障子戸や木の葉が散乱した堂内の奥に、結跏趺坐けっかふざした仏像が鎮座している他は何の姿もなかった。

 本堂の背後には、卒塔婆そとばの列のような雑木林のシルエットが折り重なり、その向こうに禁足地と言われる沼地があるらしかった。Oさんは決して、こんな不吉な雑木林を掻き分けて奥に進みたくはなかったが、Mがいるとすればその先しかなかったから仕方がなかった。Oさんは祈る気持ちで、雑木林の中に足を踏み入れた。

 雑木林の中は、自分の靴の爪先も見えないような真の闇だった。Oさんが枝葉に散々顔をぶつけながら前に進んでいくと、折り重なった木々の間からちらちらと瞬く月の光が見えてきた。少し先に雑木林が途切れた一角があるようで、そこが禁足地だとOさんは検討を付けた。

 月光の瞬く方角に向かって進むと、重なった木々の向こうに拓けた一角が見えてきた。そこは下藪したやぶの生い茂った平地になっていて、より一段と不快に湿った空気が立ち込め、得体の知れない獣臭い匂いが漂っていた。その平地の中央に、泥濘でいねいに囲まれた小さな沼地が見えた。黄色い月が揺らぎながら映る沼の黒い水面を見た時、目的地に着いたという思いから足を踏み出しかけたOさんは、水面が泡立って底から何かが浮かび上ってくるのに気付いて、咄嗟とっさに傍の木陰に身を潜めた。

 ごぼごぼと水面を泡立たせながら、泥に覆われた水辺に這い上がってきたそれを見たOさんは、自分の目を疑った。それはOさんがこれまでの人生で、一度も見たことのないものだった。Oさんはその形状を、こんな風に形容した。

「人が四つん這いになった時みたいな形をしてて、大きさも人間とほぼ同じだけど、あんな人間絶対いない。手なのか足なのか、直角に曲がった足が八本くらいあった。かといって虫っぽくもなくて、妙に人間っぽいのがほんと怖くて。体毛なのか髪なのか、長髪が顔の周りに柳の枝みたいに垂れてて、その隙間からたまに顔が見えるんだけど、もう口が人間の口じゃない。知ってる中で一番近いのはカミキリムシ。あんな風に左右から顎が突き出てて、それがガチガチ動いてる」

 それは平地に上がると、下藪の中を滑るような速度で這っていき、その速さと滑らかさにOさんは度肝を抜かされたそうだ。水際に下藪が拓けて地面が剥き出しになった一角があって、そこに数匹のそれが団子みたいに固まっていた。その塊に目を凝らしたOさんは、仰向けに倒れたMに群がったそれが顎で遺体を噛み砕いているのに気が付いて、立ったまま失神しかけたという。

 Mの遺体は方々から食い荒らされ、人の形を失いかけていたという。剥き出されて湾曲した赤い肋骨のへりが月明かりに反射し、腕も足も付け根の辺りでもぎ取られていた。西瓜を割ったみたいに、黒髪に覆われたMの頭は縦に真っ二つに裂け、その赤い断裂に鼻面を突っ込んだそれが顎を蠢かせて脳味噌をすすっていた。人が手羽先を骨ごとしゃぶるようなおぞましい咀嚼そしゃく音を聴くうちに、膝から力が抜けたOさんはよろめいて、地面に落ちた枯れ枝を踏んでしまった。ぱきっと枝が折れる音が場違いなほど大きく響き、その途端にMに群がっていたそれらが一斉にOさんを見上げたという。蔦のような髪の間からOさんを睨み付ける、何対もの赤く血走った眼を見て、Oさんは悲鳴を上げた。その悲鳴に反応したかのように、それの群れがOさんめがけて跳躍してきたので、Oさんはもつれる足で藪に頭からっ突っ込んだという。

 背後の枝葉や下生えが音を立ててその群れが追いすがってくる音に混じって、虫が顎を鳴らす時のような、キチキチキチという耳障りな音をOさんは聴いた。顔を枝葉で切るのも構わずOさんが境内に飛び出すと、石段に続く鳥居は何処にも見当たらなかった。Oさんは泣き声を発しながら、境内の淵沿いに全力で駆けたが周囲は雑木林に塞がれ、石段は全く見当たらなかった。逃げながら、この空間に閉じ込められたんだとOさんは思った。振り返ると雑木林からそれが飛び出してきて、もうOさんが逃げる場所は朽ちた本堂の中しかなかった。本堂に向かって全力で駆け込んだOさんが、外れかけた引き戸を必死に閉めた時、引き戸を摑む左の小指を一瞬で食い千切られた。急に小指の感覚が消失したのと引き換えに、鼻面を突っ込んでいたそれのすぐ眼前で引き戸を閉めたOさんは、床を這って仏像にすがり付いた。

 もう助からないと思ったそうだが、何故かもろそうな引き戸はがたがた揺れる程度で破られもせず、思わず背後の仏像を仰いだOさんは、表情を欠いたこの仏像が未だにそれを留めているのだと思った。安堵のあまりOさんは泣きそうになったが、すぐに食い千切られた小指から走る激痛で頭が一杯になってしまった。見るとぎざぎざの切断面から骨が覗き、次々と零れる血が床に滴っていた。指を縛るものがなかったOさんは靴下で小指を圧迫し、小指を抱えてひたすら痛みに苛まれるうちに、時間の感覚も曖昧になったらしかった。

 気が付くと消防隊員らしき制服の男に頬を張られていて、お堂には陽光が差し込んでいた。咄嗟に小指を見たOさんは唖然とした。食い千切られた小指は無事くっ付いていて、きつく巻かれた靴下で鬱血うっけつして赤黒く膨れ、痺れて無感覚になっていた。Oさんが靴下を外すと血が通って感覚の麻痺は取れたが、妙に力の入らない、自分の身体の一部ではなくなったような違和感は残り続けた。

「もう少ししてから気付いたけど、やっぱり指はその時、喰われたんだよ。時々勝手に動くし、もう乗っ取られてたんだと思うよ」

 指について、Oさんはそう言っていた。

 周囲から状況を聞いたOさんが面食らったのは、Oさんが行方不明になってから、既に三日も経っていたことだ。Oさんの感覚では一晩しか経っていなかった。勿論Oさんは狐に包まれた気分になったが、周囲も神隠しなどと暗に言っていた。

 Oさんが事情聴取された警官にMの消息を尋ねると、警官は行方不明になって二日後の朝に、鉄道の線路沿いを夢遊病者のように歩くMを近隣住民が通報して、無事に保護されたそうだった。今ではMも正気に返って、当時の記憶がないだけで普通に受け答えしていると聞いて、Oさんは心から安堵した。

 それから数日して復学したOさんは、クラスでMと再会した。会話を交わした限りでは疎通には全く問題がなかったが、それでもOさんはMと話しながら妙な違和感を覚えたという。どんな違和感かという僕の質問には、Oさんは淡々とこう答えた。

「どう言えばいいのか。受け答えは普通だけど、何にも心が籠ってないっていうか、それ以前にもうこいつ空っぽなんじゃないか、っていう。人間と喋ってるっていうより、仕草を巧妙にプログラムされたロボットと喋ってるみたいな感じで」

 Oさんは日々Mを確認するうちに、自分の懸念が間違いないと確信するに至った。あの夜に食い千切られて感覚が戻らなくなった自分の小指のように、Mはあの夜、魂を喰われてしまったのだと思った。Oさんは激しい後悔の念に捕われて、何度かMに心から詫びたが、その度に虚ろな顔をしたMから、心の籠っていない赦しの言葉が戻ってきて、胸を抉られた気分になったらしい。

 Mはその後どうなったのかと尋ねた僕に、Oさんは苦い笑みを見せた。

「結局ね、思った通り駄目だったよ」

「駄目、とは?」

「高三の一学期にね、駅のホームから、笑って急行電車に飛び込んでったらしい。やっぱりね、あの時、Mは死んじゃったんだよ」

 Oさんの言葉に僕が黙っていると、Oさんが冗談めかして僕に言ってきた。

「ね、だから話半分に聞いてね、って言ったでしょ? こんな話信じるの?」

 僕は曖昧に頷いて、自分からは何も明言しなかった。Oさんの話は超常現象について懐疑的な人からすれば、噴飯ものの話でしかないだろうし、僕も全面的には肯定しかねるが、それでもその夜、酒を交わしながら僕が感じたのは、未だにOさんは中学の頃に起こしたこの事件から立ち直れずにいるのではないだろうか、ということだった。

 単に穿うがち過ぎなだけかも知れないが、Oさんが一般企業にも勤めずこの仕事に就いているのは、誰もが得て当然の安定や幸せを享受するのに、自らは値しないと考えているからではないだろうかと、その時僕は思った。そうは思ったが、勿論そんなことはOさんには訊けなかった。

 仕事頑張ってねと帰り際に言われ、それから数回シフトを組んだきり、僕はOさんとは会っていない。

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