安易な覚醒も、安直な特殊能力も、ない。だからこそ、優しい。

主人公は俗に言う隠キャで、多少ゲームが好きな程度。
e-スポーツ同好会に誘われ、そこで隠された才能が開花し無双する? ……ノー。
たまたまマイナー趣味が合うヒロインと遭遇して、誰もがうらやむラブロマンスが始まる? ……ノー。

この物語は、徹底的に厳しい。主人公はいじめ抜かれ、徹底的に打ちのめされ、周りはそれに安易に手助けしない。
自分の力で、なんとかするしかない。

だからこそ、この痛みを感じるほどの厳しい物語は、確かにやさしい。

最終的に、主人公は自分だけの、唯一無二にしてチームメイトたちが求める特殊能力を見つける。
それをただの才能だと言うなら、こう問おう。「あなたは、同じように使える?」

ひりつく物語を、ありがとうございます。

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