第3話 倫理とは要するに他人に迷惑をかけないことだよ
やあ、おいらです。
人間にしろ動物にしろ植物だろうが細菌だろうが、生命のあるものって、生きているだけで、他の生命に、迷惑をかけていると思ったことある?
もう言わなくてもわかっちゃったかも知れないけれど、例えば、人間は動物や植物を殺生して、その栄養素をもらって生きている。でも、食べられる方はそのために殺されるわけだから、もし人間のように感情を持っていたら当然「やめてくれ!」って思うよね。たとえそう言われても、人間の側から見ればそうしなければ餓死してしまうから仕方がない。殺生をして食べる。
動物の世界だって、当然厳しい生存競争があるわけで、テレビの動物番組で、かわいい動物の赤ちゃんを天敵の動物が攫っていったら「ひどい」「残酷だ」と感情移入してしまうけれど、天敵だって、子育てのために赤ちゃんを攫って殺して自分の赤ちゃんにそれを食べさせる。これが自然の掟だから、どの動物がよくてどの動物が悪いなんていう正義は存在しない。
けれども、現代の人間は動物たちの持つ生存欲に基づいた行動を逸脱した強欲なものになってしまっている。これは人間の脳が巨大化したから、具体的に言えば大脳新皮質の発達によるものだったっけねえ。そして、大脳新皮質が発達したのは前足が手になって道具を使えるようになった。特に、火を使えるようになったから急速に発達したんじゃなかったかな? よく覚えていないけど、そんなことは重要なことではないからいいのだ。
問題は、脳が大きくなったことで生存欲以外の嗜好欲、つまり別に生命維持に必要ではないことで他の生物を殺したり、時には同じ種族である人間をも殺したり、傷つけて喜びを感じてしまうようになったことである。
それがやがて殺人、それもサイコパスのような享楽殺人や、世界を巻き込むような戦争を引き起こしたりする。一般庶民からしたら大迷惑だよ。
しかし、脳の発達は多様な思考の人間を生み出してしまうから、どうしたってサイコパスを産んでしまうし、一見正常な人間であっても、心の中に、衝動的な暴力欲求、過剰な変態的欲求などを秘めている人間が数多くいることは否定できないというか、大多数の人間がそういうものを持っているはずである。孫悟空のようにアクマイト光線を受けて死なない人間など、まずいないのだ。
その中で、倫理を貫くにはどうしたらいいのか? 答えは簡単である。
「自分は他人に迷惑をかけずに生きるよう努力する」
と心に誓えばいいのだ。実際には過失等で他人に迷惑をかけたり、時には死なせてしまうこともあるだろう。毎度言っているように、この宇宙自体が不条理なものなのだから、そこに生きている我々ちっぽけな個人の運命などどうなるかは、一秒先でもわからないのである。しかし、とりあえず、宇宙空間になぜか浮かんでいる地球の地面に足を踏みしめるように、他人に迷惑をかけないと心に楔を打つことで、無意味な殺生や破壊衝動を抑えることができるはずだし、もし自分がサイコパスだと思ったら、すぐにメンタルクリニックに行き、事情を説明し、薬物治療やカウンセリングで、心に巣食う得体の知れないものを少しでも小さくする努力は必要であろう。それでダメなら、おいらを殺して死刑になるがいい。おいらはいつ死んでもいいからさ。なんてね。サイコパスの力をいい方に持ってくことだってできるはずだよ。おいらは専門家じゃないからわからないけどね。ただ、自分が正しいと思っていることを書き連ねているだけさ。最終結論は自分で出してくれ。ああ、おいらは無責任だよ。
ではまた。
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