第5話 社会に出たら心理学を学ぶべき
やあ、おいらです。
なんか、タイトルに『お笑い』とつけておきながら、ここまでのところ、おいららしくもない生真面目な文章で、従来の数少ないおいらの読者にはかなり引かれてしまっているかも知れない。
しかし、おいらとしても社会人の道を十数年で出奔し、その後はうまくいかず、最終的にキチガイにまで達してしまった苦い経験を反面教師として、若い人たちの幸福な社会生活に少しでも役立たせたいと思うので、ついつい真剣になってしまうのだ。
ただ、現在のところ熱心な塾生はちょびっとなのでね、段々と脇道にそれていくこともあるんではないかな。ただ、ユーモア・エッセイは『怪獣復活』で書いているので、同じことはしないつもり。
おいらが現役時代によく一番重要だと思っていながら、結局おいらがもともと持っていた才能だけで切り抜けてしまったために、ちゃんと勉強しなかったのを後悔したのは「心理学」。とはいえ、フロイトだのユングだのから始まるややこしいモノのことではないよ。フロイトなんて、夢をなんでもセックスに当てはめるエロオヤジだし、ユングも心理学というより精神世界に行っちゃった人でしょ。全く生きていく上では必要のない「心理学」だよね。
おいらが、若い人に勉強しておいた方がいいと思う「心理学」は、対人関係で失敗しないための処世術と言い換えてもいいかも知れないな。
人間というのは一卵性双生児でもない限り、思考がみんな全く違う。社会、例えば職場の人間関係なんていうものは、仕事をしていく上で、業務の知識を吸収するよりも重要であり、場合によっては自らを破滅に追い込む爆弾ぐらい危険なものだから、細心の注意が必要だ。一人で仕事をするなら特に問題はないけど、そういう仕事はまずない。小説家や画家、芸術家のように一見孤独な仕事でも、担当編集者、画商などとの付き合いがなければ、作品を販売して金を得ることはできない。そういう繋がりがないならただの趣味だ。自分の他に一人でも他人が仕事に関わっているなら、もうそこに対人関係が存在してしまう。ましてや一般の企業等に雇用されれば、必ず複数人のグループに属すことになり、多種多様な考え方から理念、趣味嗜好など自分と全く違う人たちと仕事をすることになる。
おいらは若い頃、年上で強烈キャラの女性ばかりの職場に配属になり、最初はすごく恐怖だったんだけど、可愛がられる弟みたいな新人を演じつつ、強烈さの強い順から好かれていくという、生まれた時から持っている一種の愛嬌ってやつで強烈女子の先輩方を籠絡して、仕事がしやすい環境を作ってしまったのさ。これは蒲柳の質で超対人恐怖症のおいらが多人数の中で生き残るために自然と生み出されたモノだと思う。普通の人にはかなり意図的にやらないとできないテクニックだよ。
では、なにをすればよりいい人間関係を作れるか? それは相手を一人一人観察して、その人の喜ぶことと嫌うことをいち早く発見し、見つかったら素早く相手の懐に飛び込んで、それをさりげなく実践するの。それと素直に「先輩、これがよく分からないんです」って教えを乞うという手も有効だと思う。教えを乞われて、機嫌の悪くなる人は、その時ものすごく忙しいかったり滅茶苦茶機嫌が悪かったりと通常の感情でない人だから、そういう人はその瞬間は避けて、別の人に教えを乞えば大抵は喜んで教えてくれる。そうしているうちに職場の雰囲気はよくなる。逆に人間関係が悪いと仕事の効率も悪くなるのは言うまでもないよね。
それから出世して管理職になった時ね。この時こそ「心理学」がわかっている人とそうでない人の差が出ると思う。もしきみたちが管理職になったならば、事前にやさしい心理学の本を読んでおいたらいいと思う。例えば斎藤茂太先生とか加藤諦三先生なんかたくさんあると思うけど、先進のビジネス読み物系の心理学本の方がいいかも知れないね。書店に行けば、その手の本がいっぱいあって迷うくらいだと思う。最近リアルな書店に行ってないから、正直わかんないのだけど。
管理職になって大切なのは、自分の部下の取り扱い方だというのは自明の理だ。ただし、普通の人間関係においてはなるだけ平等に接するのが常道だけど、会社組織においてはアルバイト、パート、派遣社員にはやさしく接して、簡単な仕事をさせて、成功体験を与えてモチベーションを上げ、徐々にスキルアップさせる。一方の主幹社員には満座では厳しく当たるけど、一方で重要な事柄を相談したり、大きなプロジェクトを任せたりする。で、口では言わずとも、実はきみを頼りにしてるよっていう、マンツーマンの時の接し方で、主幹社員の仕事に対する責任感が変わってくるのではないかな。
まあ、全ておいらの経験に基づいたフィクションだけどね。
本当に人間関係を遮断して生きていくには仙人になって霞を食っていくしかないから、対人関係を円滑にするためのテクニックとしての「心理学」は勉強しておいた方がいい。現実はなかなか難しいけどね。
ではまた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます