第9話 生きているだけで幸せな世界を作ろうよ

 やあ、おいらです。


 塾生諸君、いま生きていて楽しいかい?

 うん、楽しかったら今日は帰っていいよ。その楽しさがいつまでも続くように努力してくれ。さようなら。


 残った塾生の諸君は、いま幸せではないのだね?

 じゃあ、幸せでない理由を考えよう。千差万別、人それぞれ理由は違うと思うな。学校、勤め先が辛い、生活が苦しい。家族関係、人間関係、病気など色々あるだろう。

 そのうち、変えられるもの、逃げ出せるものが理由であれば、逃げ出していいと思う。日本人は全員がサムライの子孫でもないのに、第二次世界大戦中の軍部による洗脳で、とかく精神論で物事を考え、「我慢」「辛抱」を叩き込まれてしまって、現在でも体育会系の部活やブラック企業にその残滓があるけれど、これは完全に取っ払ってしまわなければいけない。だいたい、戦争に負けたじゃないか! 精神論だけで勝てるなら、逆に苦労はないね。

 なので、イヤなことからは逃げてしまった方がいいと思う。いつまでも残っていると、メンタルをやられてしまって、おいらみたいな寝たきりキチガイになっちまうよ。こうなるともう元には戻れないからね。


 さて、より辛いのは心身の障害を持ってしまった塾生だよね。病院での手術やカウンセリングで完治するならいいけれど、大抵は「よくて寛解だけど、おそらくはムリ」なのでしょう。おいらもそうだから、それを知った時のやるせなさはないよね。おいらなんかはまだいい方だと思う。もっと辛い思いをされている塾生がいたら、おいらにはかけてあげる言葉もない。

 だけど、思い切ってここは割り切ろう。自分のできる範囲で幸せ、楽しみを見つけるしかない。当然、ハンデキャップを持ってしまった以上、他人の協力が不可欠になるけど、遠慮せずにそれを受けよう。やってはいけないのは自暴自棄になって、協力者に暴言を吐いたり、暴力を振るったりすることだ。そんなことをするくらいなら、死んでしまえ! ってのはおいらの失言だろうか? とりあえず、謝らない。


 他人の協力を受けながら、前向きに穏やかに生きる。もちろんパラスポーツのようになにか情熱を持てるものがあればもっといい。パラスポーツもムリなら、部屋で花を育てるのもいい。イヌは難しいけれどねこや小鳥を飼うのもいいなあ。


 もし、身体が動くなら、畑を借りて野菜を栽培するのもいいかもしれないよ。特にメンタル系の障害を持つ人にはおすすめだ。

 野菜だけでなくて、なにかを作り出すってのは楽しいよね。文章を書くのも同じ。おいらが誰にも読まれない文章書きをやめられないのは、なんだかんだ言っても楽しいからに他ならない。辛かったらやらないものね。人はさ、ある種、遊ぶために生きている。もしくは他の動物と違って遊ぶ能力を持っている。つまり、他の動物が種の保存だけを本能として生きているのと違うってこと。それが時には悪い方に行くこともあるけれど、塾生諸君は『正義塾』のメンバーなのだ。プライドを持って正しく遊んでくれ。人生を謳歌してくれ。悩み無用だ。


 ああ、おいらは悪いけれど、個人的な相談なんかは受け付けないよ。自主独立。答えはきみたちの心にある!


 では、また書くことができたらね。

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