あとがき ー心からの感謝をこめてー

ほんとの、ほんとの、あとがき

 みなさま、『ディ・ア・レ・スト』本編から、こちらの外伝に至るまで、お読みいただきありがとうございました。

(たぶんここに辿り着いた方々は本編より通してお読みと想像して、勝手ながら、こう言わせていただきます)


 正直言って、書き手は、いやいや、書いてます(笑)このあとがきを。

 自作ロスっていうんですかね、だって、やっぱり寂しいんですよ。どっぷり浸かったこの世界からお別れして、イヴァンとスノウの物語をもう綴れないのは。

 でも、この作品で書きたいことは書いちゃったかな、と思うので、きっぱり終わらせることにしますね。

 その記念に、野暮かもしれませんが、外伝で「書きたかったこと」について少し語らせて下さい。


 外伝「死がふたりを分かつまで」で描きたかったのは、本編で書けなかった「わかり合えない人の話」です。いわゆる敵側の人達の物語ですね。キースにはじまり、マリー・ジェシカ・そして最後のテロリスト(ああ、この人だけ名前なしだわ……)達、の物語です。

 そのなかで一番、象徴的なのは外伝Ⅲ「門出」の「それぞれの憤り」だと思っています。

 本編後、イヴァンは裁判で「自分の立場」=「彼なりの正義」を貫いたわけです。それを当然良く思わずイヴァンの命を奪おうと画策する者もいて……という話ですが、双方の立場、そこに準じた正義が対立してる象徴が、あのテロリストとイヴァンの短いながらも確執の深い会話でして。


 それぞれの立場があれば、それぞれの正義があって、そこを前提にしちゃうともう、人間って分かり合いようがないよね。どんなに理性や法でそれを防ごうとしても。みたいなことが書きたかったんですね。だからこそ争いって無くならないわけで。大げさに言うと人間の業みたいな。あるいは、悲哀や、矛盾、パラドックス。

 ……それをベースに執筆したのが外伝の各エピソードです。


 もともと自分はものを書くなかで、描きたいのは「人間の矛盾」や「理不尽」だったりするのですが、この外伝を書くなかで、それに改めて気づくことができました。


 ……でも、イヴァンとスノウの結婚式で終わらす予定はずっと前から決めていたので、いかにそこだけ浮かないようにするか、そこの構成には苦労しました。結婚式でテロを発生させる案もあったけど、それは、2人にあんまりだなぁ……と流石の腹黒い書き手も躊躇しまして。あ、でもウエディングドレス姿でレーザー銃ぶっ放すスノウも、エモいと言えばエモい光景ですが。


 とにもかくにも、『ディ・ア・レ・スト』はこれでおしまい。初の長編小説(10万字超え)だったし、カクヨムコンにも参加したし、本編の星は3けた頂けたし……書けば書くほどにこの世界にのめり込み執筆を続けていたので、その終焉は、やはり感慨深いな、うん。書き手が勝手に物語世界に浸っているのもどうかと思うけど。でも、自作を愛してこその、物書きだと思ってますのでいいのだ。いいのだ。うん。


 ……願わくば、皆様の心にも、深く残る物語であり続けると良いなぁ……。


 ……と祈念して、この作品の幕を閉めることとします。

 皆様、本当にありがとうございました。

 そして、敵も味方もひっくるめて、全ての登場人物に温かい拍手を。

  

                      つるよしの 2021/03/20





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死がふたりを分かつまで ~ディ・ア・レ・スト 外伝~ つるよしの @tsuru_yoshino

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