「諦める」という才能について

夢を追う人間は、いつだって自分を裂く。

「やりたいこと」と「やるべきこと」が一致している人間なんてほとんどいない。大概の人間がその狭間で葛藤を繰り返す。

「なりたい自分」と「なるべき自分」の分裂は、誰しもが体験する。しかし、その決着をつけられる、つまりはどちらかを諦められる人間はほんの一握りだ。

この小説が多くの人間に突き刺さるのはそんな誰しも抱える分裂を美しい言葉で表現するからだろう。

「私」は「わたし」を殺してあげることができるのだろうか。そんなことを考えるのは、今の自分が弱気だからだろうか。


名作だ。心して読んでほしい。

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