二次元世界に展開された物語は、とある力を介して時を進め又戻る。
二次元世界に現れた存在は、とある力を介して時を得て動き出す。また、立体的な存在を得ることもある。
すなわち。二次元世界が三次元的存在の介入を受けると、もしくは三次元的存在の介入を促すことで、彼らは三次元的な存在を獲得するのだ。
ならば、三次元的な存在は?
どうしたら、更なる多次元的存在を獲得し得るだろう?
そんな、存在という我々にとって至極の思索を案内してくれる名作です。迷いながら思索を繰り返すことこそが、とある力を見出だす鍵なのかもしれませんね?
お楽しみください。高次の探求を。
オススメです!
こちらは作者の創作論・SF観などをのぞくエッセイ…のはずなのですが、知らぬ間に不思議な狸さんに導かれ、次元の狭間を飛び越えてしまったようです。
言葉がぽんぽん姿を変えて、世にも奇妙なトリックアートへ。『アリス』の世界を彷彿とさせる言葉遊びは、壮大な宇宙の彼方をも面白おかしく転がし続けるのです。
すっかり作者の術中にハマってしまいました。この、あまりに独特すぎるエッセイ、いったんハマると抜け出せなくなります。
まだまだ作者の言葉の海に溺れていたい。完結がとても残念なくらい、楽しいひとときを過ごせました。ありがとうございました!
一般的に考えられるエッセイとはひと味違う、思考の彼方へ連れていかれるような言葉遊びの世界。
書くことや読むこと、さらに日常の中で、人はどうしても既成の考え方に囲まれ、それに囚われがちです。でもこの作品にはそれを気持ちよくかき回し、払拭してくれる感触があります。
毎回違う次元の中で説かれるお話は、既成概念を外れた場所からものごとを見て、掘り下げていきます。ときに文学的、ときに数学的、ときに感覚的。堅苦しい言葉ではなく、少しとぼけたユーモラスな口調で語られるのが魅力です。読むうちにいつの間にか筆者の手のひらに乗せられているのか、あるいは狸に化かされているのか。いずれにせよそこに一方的なものはなく、ものの見方とはいろんな角度から存在するものだと気づかされます。
言葉遊びの中に本質を探る「エッセイのようなもの」。
蒼翠と琥珀に彩られた独特の世界を覗いてみてはいかがでしょうか。意識の外にあったものを発見させてくれるかも知れません。