風船の「僕」が見る風景。一番星を目指した先にある世界の美しさを是非。

詩的表現で語られる風船の「僕」の心境が、どうしてこんなにも美しく本質的に感じられるのだろう。
風船が膨らんで生命を持って、人の手から離れて自由になり、いろんな景色を見た末に、終わりを迎える。

これは人生の縮図だ。

鳥の翼。飛行機の翼。
風船が憧れるものたちは、各々の羨ましくない苦労を語る。
しかし、風船は比べてしまう。
翼持つ者と、翼無き自分の姿を。

風船の空気が抜けて萎んでしまうのは「死」の象徴に見える。
だとしたらタイトルが示唆する世界は「死後」だろうか。
それは違うような気がする。新たな世界であると思える。

     ‥…━━━☆

是非、ご自分の目で「風船の国」の正体を確かめてください。
やさしくて、せつなくて、どこまでも、どこまでも、
夢と生命が続くような祈りの物語です。

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