人の値段が可視化される世界。100万円の値がついた主人公の男子高校生は、あるとき0円の値段の少女、夢彩に出会う。4億5000万の友人。23万円の弟。彼女の値段の0円の意味とは――人の価値を考えずには居られない、怪作でした。
昔、『愛がゆく(小山ゆう、小学館、敬称略)』という漫画があった。いわゆるディストピアSFで、話の途中から世界中の人々の額に当人の価値を示す点数がつけられる。一定水準に達さないと文字通りの意味で物理的に即座に消滅する。 お断りしておくが、本作と『愛がゆく』は一切無関係である。その点は誤解しないで欲しい。 話を戻して、人は自分の性格すら合理的に説明できない。そのことからしても、こうした『数値』はナンセンス以外の何物でもない。 たった一人でも否、たった一人だからこそ、本作の主人公の行為は読者の胸を打つ。まさに『愛がゆく』の主人公に勝るとも劣らぬ英雄だ。 詳細本作。
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