0-1
◇
「はーいどうもこんにちはー」
突然の聴き慣れぬ声に、私ははっと振り向く。
先ほどよりも色彩の明度がうっすら落ちたようなオペ室の中は、なんの匂いも音もしない。
それどころか。気がつけば。
動いているものが、何もない。
スタッフも。時計も。すべてのメーターもモーターも。
かろうじて動いているのは、モノポーラを持ったまま細かく震えているこの手と。
いつの間にかわたしの背後に立っていた、黒い人影だけだった。
ーー人影?
ーーしかも、黒い?
「あれ、驚いちゃった? そりゃそうだよね驚くよねー」
青緑色の術衣を着た医療従事者以外が入れるはずもない、このオペ室という空間に、真っ黒なスーツ姿の妙にひょろりと背の高い男が忽然と現れていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます