藤原秀郷、その伝説の始まり――

藤原秀郷というと、平将門を討った男として知られています。
しかし――その経歴には謎に包まれている部分が多く、その平将門追討以外で知られていることは、蜈蚣(ムカデ)退治の伝説ぐらいです。

本作は――その蜈蚣退治にスポットを当てつつ、藤原秀郷という男が、いかなる人物かということを描いています。
そういう横糸を張りつつも、藤原氏の祖・藤原鎌足との縁という縦糸も張られ、綾なす物語は、蜈蚣討伐というクライマックスを迎え――何故「俵藤太」と称されるようになったのかを述べ、そして最後に――その俵藤太が東国において「強敵」と相対する運命にあるということを示唆して、終わりを告げます。

全五話、7000字弱という短編ですので、それほど構えることも無く、古代の英雄の活劇と運命を、ご覧になってはいかがでしょうか。