爽やかな読後感のあるとても可愛い作品

全てのキャラクターが大なり小なり闇を抱えていたり、不安ややり場のない怒りを抱えている。それが表に出ないものもあれば、あからさまに表に出すもの、そうした中でも己の矜持は崩さずに、ただただ全てを否定しようとするものとは線を引き自らの生き方を崩さないものいれば、かつてはその強い光のもたらしていたものの価値に気が付かずに失ってしまったものが、今またその光を手に入れたからには死んでも手放さんぞとばかりの態度で全てを浄化するかつての伝説の大聖女に匹敵する彼女に相対して己の利益のために一歩も引かないものもいる……いやある意味ほとんど出てなかった商人さんが最後に全部持っていた感まである。暗躍しすぎでしょ彼女w完全に物語のフィクサーでしたね。

本作最大の魅力はメインキャラのみならずこうしたサブキャラの骨太な作りかもしれませんね。

それぞれのキャラクターは濃いのだがセリフで暴れすぎることもせず一見おとなしそうに見せておいて、それでいてそれぞれ決して譲れないものを持っておりバチバチと火花を散らしている感じがなんとも……そりゃ平民出の司教様も卵パンに癒しを求めるってもんですよ。ましてやそれが光る聖なるパンだったとすれば……w

カクヨムによくあるセリフで騒ぎする傾向はなく、語り出したらそれぞれ結構長いので横書きで読む分には敬遠されている部分もあるのかもしれないですがとてもよくまとまっている作品であり、ザッピングこれだけ使ってそれがもたれることがほぼないってこれはすごいことだと思いますね。

最後は着地点はわかりきっているのになかなかそこに降りられない苦悩がコメントへの返信で垣間見られていましたが、僕は全然気にならなかったです。奇跡を起こした本人がその奇跡に自覚がほとんどないのですから、それはもうザッピングで語ってもらうしかない。

そして読み切りで綺麗にまとまっていることも素晴らしい。挙句メディアミックス的に干渉の余地がかなり残されているのも個人的には良いことだと思います。漫画よりはアニメ向きだと思うんですが。どこかやらないかな？動くモモがすごく見てみたいと思いました。もちろん漫画でもみてみたいですね。

ラブコメ的には三角関係的にまだここから続く要素があると感じますが、答え合わせ的にはスッキリ終わっているので、どうなのかな……？カタルシス的にはそこが1番大事だったので、ここから続けると駄作になると感じたのかもしれませんね？

何はともあれ、大変楽しませていただきました。ありがとうございます😊✨✨✨