心の臓を動かすのは愛しい人の心。巡り続ける命。機械仕掛けなのに温かい。

機械仕掛けの心臓で生きる。
ただし、その心臓を動かし続ける「エネルギー」は、人間の心臓を動かすものと同じ。
愛する人を生かすために、自分の生命を削ってでも「エネルギー」を分け与える登場人物の姿は儚く、けれども力強く、涙を誘うほど美しい。

大正時代を思わせる和の舞台に、端正な佇まいで存在する人々の心が見えます。
ひとつの生命が終わっても、続いていく生命があることに、一条の希望が輝きます。
切なくも強固な生命力が充たされた美しい短編でした。ぜひ、どうぞ。

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