孤高の冷酷皇帝の心を溶かすは、憫然たる運命に揺れる健気な一輪の花

これまで散々に虐げられてきたヒロイン・トリンティアが、ひょんなことから冷酷皇帝・ウォルフレッドに召し上げられる、いわゆる『溺愛もの』に分類される本作。
私、普段はこのジャンルのものをあまり読まないのですが、作者さまの巧みな筆致で、すっかりこの物語に惹き込まれてしまいました。

銀狼の血に蝕まれる皇帝を癒す『花の乙女』の設定が秀逸です。皇帝にとってなくてはならない存在なので、政治的な駆け引きに利用されたりします。
ただただ甘い恋愛のストーリーではなく、硬質な側面の展開がこの物語に深みを与えています。

その生い立ちから、ものすごく自己肯定感の低いトリンティア。
彼女の心理の動きが非常に丁寧に綴られており、ウォルフレッドへの想いの変化にも共感しました。

立場上、冷酷な仮面を自ら被り続けてきたウォルフレッド。
自分の心に向き合い始めたトリンティア。
数々のしがらみを越え、いつか二人は真の愛で結ばれるのでしょうか。
ラストまで目が離せません!

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