世界に「はじめまして」。

九年の長い間、引きこもってきた少年が、再び生き始める……といったら聞こえはいいけれど、突然のロードムービー、そして怪しげ(いやまんま怪しいけど)な商売を、という「青春映画」のテイストを詰めこんだ作品。
同時に作者の趣味嗜好(性癖)も垣間見える、非常に私的な作品にも思われます。青春小説っていうのはきっと、そういうものなんでしょう。
断絶から再び世界に「はじめまして」をした主人公・拓くんと一緒に、僕らももう一度、世界に挨拶をさせてくれる。そんな一作です(でもちょっとビターめに)。



さて、このレビューを書いている2021年2月1日現在、一応の青春映画的「終わりとも始まりともつかないラスト」まで公開されていますが、どうなるのか。いちおう「連載中」だし。
この作者が好きな作家同様、とつぜん「第三部」とか「BOOK3」が公開されるのでしょうか?
楽しみに待ちましょう。

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