作者様の繊細な感受性に導かれ――綺麗に紡がれた恋心。

『あなたはずっと、朝を待っていたのかもしれない。』
そんな一文から始まる、独白調の物語です。

作者さまは繊細な感性をお持ちの方で、そのセンスが随所に伺えます。
雪人君の白髪を絵筆に見立てて空の色とリンクさせたり、『月明かりが薄いシャツの表面に背骨のかたちを綺麗に写し出す。』という細かな描写が見られたり、心に残るシーンが多いです。この一文は雪人君の繊細さが巧みに描写されている、最も印象的な文章でした。シャツの質感や背骨の形まで描写するなんて凄いです。冒頭の「骨色」とも重なっていて、作品の世界観が確立されていると思います。

ガラス玉で作ったモザイク画を見ているような、透き通って美しい作品でした。

濁りない朝日の中、雪人君の旅立ちを見つめるひかりちゃんのひたむきな恋心、どうか皆様にも感じていただきたいです。