僕が恋した嘘つきさん達

僕は中学三年の修学旅行最終日に両親を亡くした。その哀しみからか記憶を全て失い、残ったものは詩子姉と両親の読んでいた小説達だけだった。
過去の過程がない僕は周囲に詰まらない人間と思われることを拒み、物語に没頭した。高校に入学してからは同じ中学だった勇一こと、勇ちゃん以外に友達は出来なかった。

そんな高校生活にも慣れ、季節が冬を迎えようとしていた頃、ほんのり香る懐かしい匂いに包まれたクラスメイト。河原結奈と出会う。言葉こそあまり交わさないが少しばかり気になってしまう懐かしさ。
そして、同日に強い香りと共にそよ風の如く現れたのは文化祭イベントであるミスコン女王の座を辞退した女生徒、浜辺日和。
二人の女生徒と関わるうちに僕の失くした記憶が戻り始めるのだが。
思い出してほしくないと願う、河原結奈。
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