第9話 辞表
◎校長室
「先生、どういう事ですか?先生と生徒。しかも相手が悪すぎる」
「すみません……」
そう謝り頭を下げ、私は辞表を出した。
「これは……?」
「こちらから辞めさせて頂きます」
私は校長室を出て行き、屋上に行くと煙草を吹かす。
「結局あんたも金か」
「えっ!?」
声がし振り返ると香崎君の姿。
「香崎君」
「学校辞めさせられる事になっても私はみんなを卒業させない限り辞めない。結局、嘘だったって事だ」
「そ、そうなんだ!結局、私は先生には向いてないみたい。子供を愛せないからね」
「………………」
「こんな事なら抱かれとけば良かったかな?そして、また妊娠して今度こそは自殺してあの世逝き。私には…幸せな結婚なんて必要ないみたいだし」
「………………」
「でも、あなたも抱かないなんて勿体ない。22歳の私に色気感じないなんて事ないでしょう?一生離したくないと思って……まあ、所詮、一児の母親。興味ないって話よね? 第一、先生と生徒ですものね。それじゃ」
「………………」
屋上から戻ろうとする私。
ドアノブに手を掛けた時、背後からドアノブに手が伸びてくる。
グイッともう片方の手で抱きしめられた。
ドキッ
胸が大きく跳ねる。
「あんたさ自分の立場分かって言ってんの?」
「えっ?」
「俺が相手しないとでも思った?」
「ちょ、ちょっと……香崎君……?」
「俺、女だったら誰でも良いんだぜ?先生と生徒だったから手出さなかったけど……辞表出して来たんだし関係ねえ事位分かるでしょ? 先・生。あんたの望み叶えてやるよ!」
グイッ
振り返らせ、キスをされ深いキスをされる。
「ちょ、ちょっと……辞め……」
「辞める訳ないじゃん!」
乱れて行く洋服。
気付けば香崎君の制服も乱れ肌がはたけていた。
ドキン
私の胸はまさかのドキドキ感に変わり早鐘のように加速していく。
「あんたが逆に高校生相手にドキドキしてんじゃねーの?」
ギクッ
「先生と生徒って言ってる割りには、先生は俺位の時、先生と付き合っててお腹に子供宿したんでしょう?でも、結局、離婚して子供は旦那に親権」
「………………」
「正直、俺も先生と生徒なんてって最初は思ってたけど……ある事が分かるまではな」
「えっ?」
「今は話さねーけど……」
「……香崎君……辞めて……」
「辞める訳ないじゃん? その気にさせたのあんだだろ?」
「……ま、待って……」
「待たない……その気がないなら最初から言わなきゃ良かったんじゃねーの?先・生……怖がらなくても妊娠させねーから安心しろよ」
「………………」
「ビビってるみたいだし。俺、あんたの元旦那さんみたいに責任とれないから。先生と1つになれる事なんて滅多にないチャンスなのに、だから……そんな顔すんなよ……」
「………………」
「俺に委ねな……管崎 優佳先生……」
ドキン
気付けば二人の身体は1つになっていて、私は涙がこぼれ落ちた。
「……あんたの……その涙は反則なんだよ……」
そう言うと私の首スジに顔を埋める香崎君。
「………………」
「さようなら……先・生」
そう言うとキスをし深いキスをされる。
「親にはあんたが誘惑してる事になってるから」
ありもしない嘘に呆れた
自分から手を出しておきながら
私が誘惑?
母親を困らせようとしているのか
わたしを困らせようとしているのか
真実は分からない
数日後。
小切手が送られてきた。
私は迷う事なく返した。
「どういう事です?小切手を返すなんて……どういうおつもりなのかしら?」
「それが答えじゃないんですか?」
「えっ?」
「お金なんて必要ない。そういう事でしょう?」
「今迄の人は返す事なかったのに」
「その小切手、俺から渡しておきましょうか?」
「えっ?」
「でも、もしいらないのまた返された時、俺が預かっていても良いですか?」
「そうね。別に良いわよ」
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