第7話 お金持ち

それから彼の姿を見なくなった。


学校に来る事が減ったのだ。


このままだと彼は単位が足りず卒業すら出来ないのだ。


私は彼の家を訪ねる事にした。




「………………」



「こ、香崎君って……お金持ちだったの!?」




そこへ、一台のリムジンが―――



後部座席の窓が開く。



「突然の家庭訪問ですかぁーー?優佳ちゃーん。それは反則でしょう?」


「だって……学校……」


「まあ、入れよ。そこにある小さなドアから入んな。悪い、車出して!」



そして、車は一足先に中へと入って行き、私はドアから中に入っていく。


私は案内され、とある部屋に入る。



「で?用件は?」

「出席日数」

「一層の事、退学にしたら?」

「嫌です!それは出来ません!」

「どうして?」


「私も同じ経験している以上、それは勧めない!」

「えっ!? 優佳ちゃん、中退してんの?」

「しようとしたけど止められたの!元夫に」


「…元…夫…? えっ!?まさか…優佳ちゃんって……先生と生徒の禁断の恋!?」


「そうよ」


「うわぁ~……尚更、俺、学校辞めたくなった……」

「何で、そうなるのよ!」

「俺、自由気ままに生きてーし」

「でも、高校は卒業した方が良いから」

「両親が勧めた学校なんて嫌だし」


「香崎君、どうしてそんなに両親を?」

「俺はこの通り毎日一人なんだよ。いないのも同然。たまに帰ってきても嬉しいと思った事はねーな」


「……香崎…君…」


「学校辞めて一人旅しようかな?」

「香崎君、卒業まで残り僅かなんだから」

「別に良くね? ねえ先生、一層の事学校辞めさせてよ!」


「えっ?」


「あっ!先生に手を出せば、即、退学じゃん」


「あのねー」


「ねえねえ、俺の子供つくろうぜ?いや、俺達の子供が正しいか」



私はクッションを香崎君に投げ付けた。



「何すんだよ!」

「好きでもないくせに容易く子供つくれなど言わないでよ!」

「そんなむきにならなくても」

「ともかく明日から出席して!出席日数足りないと色々言われるんだから!」


「それはねーと思うけど?」

「えっ?」

「現に、今日は言われた訳じゃねーんだろ?このままだとと思ってあんた自身が、ここに来たんだろうし」

「…それは……」


「余り酷いようなら、学校側から声が掛かるはずだし、そのままにしていれば?その時、退学しますって言えば良いわけだし」


「香崎君」


「じゃあ、俺は忙しいんで帰って!」


「待って!私の責任になるんだけど?もし、あなたが本当にそのつもりであれば、教育が悪いだの、次の先生を連れて来て、私は即クビよ!」


「アハハ…こりゃ光栄だ!」

「はあぁぁっ!?私は生活が掛かっているんだから困ります!」

「一児の母親なんだし、私の息子に手を出されたら困りますって言い兼ねないし。あのババア!」


「バ…ババア!?」


「俺は親が大嫌いなんだよ!あんたみたいな先生に出会えた事は嬉しく思うよ。クビになってさ他探す前に俺の女になれば?」


「あのねー、どうしてそうなるかな?私とあなたは先生と生徒。第一、あなたが先生と生徒の間に愛だの恋だの生まれる方がおかしいって言ってたのに、あなたって人を好きにならなくて、お金で女つくって、お金で別れてるんじゃ」



「だとしたら?」


「本気で言ってるの?だとしたら、あなたは最低よ。私はお金で動かない!あなたの人生はあなたが決めるべきじゃないの?」


「へぇー……お金で動かねーんだ。あんた」


「私はモノじゃない!あなたの人生に振り回されたくないからっ!私はあなたに本音でぶつかって欲しいの!親がなんて言い訳なんて聞きたくないっ!ともかく私は帰るから」



私は帰ろうと部屋を出て行き始める。



「もし…私が学校辞めさせる事になっても…私はみんなを卒業させない限り学校は辞めたくないから。だから絶対に来てよね」




私は帰る事にした。




「本当、あんたみたいな女初めてだぜ。お金で動かないねぇ~。ちょっと…いや…かなり面白くなってきたじゃん!だったら見せてもらおうじゃねーか!あんたの先公ぶりを。管崎 優佳さん」




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