「コノハナさんの作品ってどんな作品ですか?」と問われて一番に思うのが、やはり気品でしょうか? 文体に品がにじみ出ているのですよね。凛としたような文章で読みやすく、読む者の心に飛び込んで深い印象を残す。品のある文章というのは目指してもなかなか書くことが出来ないのではないかなと思います。それが第一の特徴かなと。
ヒロイン、フィルメラルナもまたその物語を象徴するような美しい女性なのですね。ここでいう美しいとは見た目の美しさではありません(勿論見た目も美しいですけれど)
高貴な百合の花が咲いたような佇まいとまっすぐな心。自身に降りかかる悲劇を乗り越えてなお美しく咲く姿に感銘した人も多いはずです。
作品の持つ雰囲気がとにかく潔く、心地いい。それはやっぱりコノハナさんの持つセンスと筆力ではないかなと思います。
物語はフィルメラルナが世界で唯一無二の存在である神妃として神殿に迎えられるところから始まります。神妃とは一体どのような存在か。時折チラつく、前神妃イルマルガリータの影。彼女は一体どんな人であったのか。物語は進むにつれて深く広く展開していきます。
大きな謎がいくつか仕掛けられていまして、そこはまさにミステリックファンタジー。読みながら推理してああでもないこうでもないと思考を巡らしとても楽しい時間を過ごさせて頂きました。
力強く美しい文章と物語の抱える謎。
貴方も歴史の目撃者になりましょう!
神妃という世界のバランスを守る巫女のような役割が存在する中世ファンタジー世界の物語です。
主人公フィルメラルナはごく普通の薬草屋の娘でしたが、あるとき薬を届けに行った先で神妃イルマルガリータと出会い、そのままなぜか意識を失ってしまいます。
目が覚めたときには神妃の証である蔦の紋様が額に現れ、神殿騎士エルヴィンに神妃として神殿に連れていかれたのでした。
その後、周囲の事情を聴いてわかったことは神妃イルマルガリータはすでに行方不明になっていて死んでいる可能性があるということ、本来は新たな神妃は新生児が選ばれるはずであるのに、十七歳の少女である主人公に神妃として選ばれてしまったという事実でした。
さらに姿を消したイルマルガリータが残したメッセージが彼女を導いていき、なぜ自分が神妃になったのか、謎が少しずつ明かされていきます。
謎解き要素、恋愛要素もあるファンタジー物語が筆者さんならではの荘厳な文体で描かれています。
また健気なヒロインが過酷な運命に巻き込まれながらも、それと向かい合おうとする姿が繊細に表現されています。
一風変わった恋愛ファンタジーが楽しみたい方にはお勧めです。
ただの町娘だったフィルメラルナは薬を届けようと教会に訪れたところから運命が大きく変わります。
騎士がやってきて半ば強引に神殿に閉じ込められてしまうフィルメラルナ。
父親と離れ離れになり、何とか元の生活に戻る事を願う彼女。
しかし、それを許さない思惑や勢力や陰謀が渦巻いている。
果たして彼女は元の生活に戻れるのでしょうか。
大作で読み応えありました。
登場人物も全員が個性豊か。
残忍なイルマルガリータ。
フィルメラルナを守るエルヴィン。
エルヴィンに嫉妬丸出しのアルスラン。
フィルメラルナに怯えている侍女のジェシカ。
マイペースでどこか達観しているヘンデル。
そして重要なユリウス王子とミランダ王女。
なぜフィルメラルナが理不尽な目に合うのか。
少しずつわかっていく過程は圧巻です!
読めばひたすら健気なフィルメラルナを応援したくなります。
どんでん返しもある大作異世界ファンタジー、大満足でした。
ある日を境に、神が選んだという聖女「神妃」になってしまったフィルメラルナ。
薬草屋を営む父と暮らす平凡な娘だったはずのに、いきなり聖なる存在に担ぎ上げられて。しかも前の神妃は不可解な失踪を遂げている。
神妃の務めをこなしつつ、フィルメラルナは絡まった蔦をほぐすように謎を解き明かそうとするのですが……。
アイデンティティの危機に戸惑いつつもそれを受け入れようとするヒロインの心がとてもリアルに伝わりました。蒼白い月の光を背景に彼女が運命に立ち向かう姿は神秘的。
失われた記憶、隠されたメッセージ。ミステリ好きならわくわくする仕掛けが読者の心を掴んで離さない、謎解き要素たっぷりの恋愛ファンタジーです。
神王国ロードス。そこには神妃と呼ばれる存在がいました。
神妃とは、神の分身としてこの世に遣わされた少女であり、世界に安定をもたらす存在。それが亡くなると、世に生まれてくる赤子の中から次の神妃が誕生し、それを国と教会が保護する。それが、遥か昔から続けられてきた。
というのが、本作開始時の世界観。しかし始まって早々、これが崩れてしまうのです。
物語の主人公フィルメラルナは、十七歳の町娘。前述の神妃とは、何の関わりもない人生を送ってきました。しかしある時、彼女の額に神妃の証である紋章が現れたことにより、その人生は一変。捕らえられ、告げられたのは、先代の神妃が失踪したこと。そして、自らが新たな神妃になったという事実でした。
神妃の失踪というのはもちろん、十七歳にして神妃になるというのも前代未聞。この事態に多くの者が戸惑うのですが、もちろん一番戸惑っているのは、神妃となったフィルメラルナ本人です。
神から遣わされた存在なんて聞くと、どれ程素晴らしいものだろうと思うかもしれません。しかし先代の神妃は、その権力を使い、非道な行いを数多く行っていたとのこと。
そしてフィルメラルナは神妃となったことで普通の町娘としての自由をなくしたばかりか、どういうわけか、見知っていたはずの人々から、彼女の記憶が消えていきます。それはまるで、フィルメラルナという一人の人間が、神妃という超常の存在に乗っ取られていくかのようでもありました。
神妃とは何なのか。それに翻弄される人々はどうなってしまうのでしょうか。
そして全ての真実が明らかになった時、最後に残るのは何なのでしょう?
神王国に住む、フィルメラルナ。彼女はどこにでもいる、ただの町娘のはずだった。
しかしある日、額に聖痕と呼ばれる印が現れたことで、人生が一転する。それは『神妃』と呼ばれる特別な存在であることを現す、聖なる証……いえ、フィルメラルナにとっては、ある意味呪いなのかもしれません。
特別な存在となってしまったフィルメラルナは神殿へと連れて行かれ、神妃としての特別な扱いを受けますが、そのせいで愛する父とは離ればなれに。
訳のわからぬまま神妃になってしまったがばっかりに、自由と大切な人を奪われ、窮屈な生活を余儀なくされて。
神妃が特別な存在と言うのは分かりますけど、これはいくらなんでもあんまりです! なんの心の準備もできないまま今までの生活を失ったフィルメラルナが、どれだけ辛い思いをしているか。
けどこのお話、悲しいだけではありません。
そもそもフィルメラルナに聖痕が現れたのは、先代の神妃が行方不明になったから。
いきなり神殿に連れてこられて、最初は周りに警戒心を抱いていたフィルメラルナですが、信頼できる協力者を見つけ、先代神妃の失踪の真実を追っていく。
神妃に纏わる設定が非常に丁寧に作られていて、過酷な運命、残酷な歴史が生々しく描かれると共に、過酷な運命に翻弄されながらもそれに立ち向かうフィルメラルナが、力強く描かれています。
ハイ・ファンタジーが好きな人に是非おすすめ。
何度挫けるも、その度に立ち上がる健気なフィルメラルナの奮闘を、見守ってあげてください。
ごく普通の町娘だった少女が、突然世界を正す力を持つ『神妃』として崇められる。
これは、心ときめくシンデレラストーリーではありません。
謎が謎を呼ぶ、ファンタジックミステリです。
主人公・フィルメラルナは生活も家族も全て失った上、前神妃・イルマルガリータの遺した思惑に翻弄され、大きな運命の奔流に呑まれていきます。
イルマルガリータはどこへ消えたのか。何を為そうとしていたのか。フィルメラルナに託された遺志は何なのか。
一つヒントを掴んだら、また一つ謎が増える。
先が気になって、ページを繰る手が止まらなくなること間違いなしです。
初めは自分の立場を受け止められずに戸惑っていたフィルメラルナですが、少しずつ周囲に理解者を作り、『神妃』としてではなく彼女自身の意思で、運命と向き合っていきます。
イルマルガリータの死の真相を追うごとに、明らかになる彼女の知られざる姿。
全ての謎が明らかになった時、フィルメラルナを待ち受けるのはどんな真実なのでしょう。
ラストまで目が離せません!
神王国に住む十七歳の町娘。
薬を届けに行った教会で、意図せず神妃と出逢う。
主人公の町娘の額の聖痕。
神妃イルマルガリータの失踪。
エルヴィンに連れられた神殿で、神妃としての儀式を受けるフィルメラルナだが、父親が囚われ、イルマルガリータが殺害され、一体誰が何のために罪を犯したのか、自分ができることは何なのか、苦悩と葛藤を繰り返しながらも、神妃としての儀式を果たしていく決意をする。
作者様が丁寧に創りあげた独特の世界観。
ミステリー要素を含む神秘的な異世界ファンタジー。
「最後の被験者」と呼ばれた少女は真の神妃になれるのか?
この神王国は、神妃フィルメラルナによりこれからどのように変化していくのか。
散りばめられた伏せんがどのように回収されていくのか、ラストが楽しみです。
(第79話 記憶の改竄拝読後のレビュー)
蒼い月の夜に、神殿に薬を届けに来た主人公は、現神妃と出会う。神妃とは、神脈を正すことで世界に秩序をもたらす存在で、その額には蔦の紋章がある。国を統べる王室とは犬猿の仲だが、国を治める王室と、世界の秩序を守る神妃では存在意義が違う。主人公を見た現神妃は言った。
「最後の検体が来たわ」
主人公が目覚めると、父が神殿の使者と争っていた。しかし、あえなく主人公は神殿に連れてこられ、神脈を正す儀式に臨むことに。この大役を終えて、本物の新しい神妃と見られるようになっていく。それと同時に、前神娘が外見は美しかったが、中身は悪女だったことが判明する。本当に現神妃の主人公を認めるか。その問題に終止符を打ったのは、前神妃の首が神殿にもたらされたことだった。
神妃となった主人公は、父親と接見するが父親は主人公を覚えておらず、主人公が暮らしていた場所にも、主人公を知る者がいなくなっていた。そんな中、主人公は、新しい神妃として、公にされることになった。皆の前に神妃として立った主人公の前に、神妃解放党の連中が乱入し、一時騒然とする。
主人公は窮屈な神殿を抜け出して、幼馴染に出会う。幼馴染は主人公のことを覚えていたらしく、話しかけてきたが、主人公は神妃として神殿に帰るしかなった。
前神妃が発狂したようになったという蒼い月と神妃の関係。
美しき前神妃が行っていた非道な行い。
そして、主人公を取り巻く騎士やメイド、歴史棟の魔術師。
果たして、本当に前神妃は死んでしまったのか?
どこか含みのある面々の思惑とは?
是非、御一読下さい。