身近な毒を使った海上での密室殺人を描いた作品

こちらの作品は『海上の密室』『身近な毒物』などの要素を含んだ推理物の作品となっています。

特徴的な内容として、視点人物を中心に物語が進むものの、人物の感情などが控えめに描かれていて、どこか俯瞰的な視点で読み進める様な文章で、

一度物語の進行を止め、あえて作者さんの存在感を表に出し、『作者と読者の知恵比べ』を作品の中の一興として書いている点があります。

その際、推理系が初めての人も楽しめるように、白黒がはっきりとついている人物や、推理のヒントをあらかじめ提示し、『物語を楽しみたい人』に『推理を楽しんでもらう』という誘導がある点は、

『この作品を楽しく読んでほしい』という作者さんの工夫が感じられ、とても良い印象を受けました。

物語は会話を主体に進み、描写も丁寧ながら無駄がなく、とても読みやすかったです。

私はあまり推理物は読まないのですが、「あ~!!」となるトリックもあり、この作品全体を2周ほどして楽しませていただきました。

トリックのためのミスリードが行われるなど、技法的な面白さもあり、★3評価では物足りないクオリティとなっています......!

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