この作品を読む前のタイトルだけを見た印象だけだと、ギャンブルチックな賭け事とかのお話……?って印象で、タグを見た感じだとどうやら恋愛系っぽい。
このタイトルとタグの印象の差で興味を持って読み始めたのですが、タイトルにあるように、賭けというのは高校生の男女が交わした馴染みのある勝負事のような約束がきっかけに始まる物語でした。
二人の関係性は男の子が女の子へ片思いをしているのが話の冒頭で語られ、負けた方はどんなことを要求するのかな~と思っていると、
女の子は「内緒……」と。
男の子の方はいろいろと思いがあるけど、そんなことを言われたのか照れ隠しで内緒にすることに。
それじゃ話が進まないのでは? と相手への要求がどうなるのか楽しみにしながら読み進めると『雨』がテーマのシナリオが2つ。
それが二人の出会いのストーリーと、男の子の要求の打ち明けのシナリオなのですが、テーマに一貫性があるのと、雨の対比か『陽(ひ)』を連想させるような言葉選びで物語が紡がれて、エモエモのエモな展開に……。
二人の約束の行く末を物語を読み進めて見届けると、タイトルの意味が少し変わって見える感じがして、タイトル回収の展開とかで私は『うぉぉおおおお』ってなりました。伏線などもちりばめられた作品だったので、2度読む楽しさもあり、とても素敵な作品でした。
私の評価は★3で入れさせていただきました!
素敵な作品なのでぜひ一読をご一考ください♪
青春や恋愛とは定義できるものではありません。
人の心の数だけ存在するといっても過言ではなく感じ方も読者によって変わるものだと思います。
主人公は赤宮ヒカリという少女に片思いしています。
自分のことを平々凡々だと思っている彼にとって赤宮さんは高嶺の花です。
追試のための勉強で少しずつ距離近づけていく二人。
そこで二人は賭けをします。
それによって勝ったときに相手にお願いする内容を伏せたまま。
よくある恋愛もののようですがとある情報が隠されています。
それは赤宮ヒカリという少女の気持ちと連動している。
ミステリではないのに読後感は良くカタルシスがあります。
圧倒的救済が待ち受けているのです。
彼女は何故そんな賭けを持ち出したのか。
その約束は守られるのか。
この小説はハッピーエンドです。
それが分かっていても心に訴えかけるものがあります。
人は悲しいとき何かに縋りたくなる。
それが儚い願いであっても。
この先の二人を応援したくなるそんな小説でした。
ちょっと気弱な男の子・鈴木くんと、チャーミングな人気者女子・ヒカリちゃん。高校生の男女が織りなす青春ど真ん中ストーリーです!
鈴木くんがヒカリちゃんの傍にいるだけでドキドキしてしまう気持ち、自分が傍にいてもいいのかという悩み……心情が丁寧に綴られていて、なんともピュアでみずみずしい。
豪雨のあと虹がかかるシーンでは、映像がばぁーっと頭の中に流れて眩しくなりました。
このまま何の起伏もなく終わるのかと思いきや、終盤で話が一転。
困難を乗り越えた鈴木くんは、二年後、再びヒカリちゃんの前に立ちます。
前半ではどちらかといえばヒカリちゃんの方が気弱な鈴木くんを引っ張っていましたが、終盤では鈴木くんがリード。
冒頭で光ちゃんが言っていた『賭け、してみない?』というセリフを鈴木くんが口にするラストは、立場の逆転から主人公の成長が垣間見えて、とても鮮やかでした。
短いお話ですが、ストーリーを通して主人公に寄り添えました。
眩しくて素敵なお話をありがとうございます。
彼女が僕に、賭けの提案をする。追試の点数で負けた人は、勝った人の言うことを全部聞かなきゃいけない、と。そんなことを言われてドキドキしない男子はいるだろうか。僕の答えは決まっている……。
そんな青春の駆け引きから始まる本作。
〈天泣〉という素敵な言葉を軸に、甘く、切ない恋模様を描き出します。人生に困難はつきもの。平坦な道のりではないからこそ、人と人との関係は大切なものとして育まれていくのでしょう。
ヒロインの囁きや、××(ネタバレ!)など、〈声〉を意識した作品であることも強調しておきたいところ。皆さまは、どのような声を想像するでしょうか。未読の方は、ぜひご確認ください。