第3話 ちょっと入院に、なりまして。

 さてさて。

 整形外来のH先生にようやく診てもらい、レントゲンを撮ってまた戻り、

「やっぱり骨に異常はなさそうですね」

 と言われる。

「となると骨の間の軟骨がすり減って起きる痛みの可能性が…」

 と、色々ご説明を受けました。

「でも詳しく検査した方が良いので、MRIも撮りましょう。ええと…いつがいいかな」


 その口ぶりには、覚えがあります。

 そうです!

 以前、椎間板ヘルニアで運ばれた時も「予約がいっぱいですぐには撮れません」と言われ、何日も待たされた記憶が蘇ったのです!

 つまり先生は「後日、日を改めて」とおっしゃろうとしている。恐らく、間違いなく。だってパソコン画面のカレンダー見てはるもん!


(あかんって。仕事もあるし、そんなに日数を置くわけには──)


 はい。

 ここで皆さんご注目です。

 この時点でこやつ(つまり私)、数日後には普通に出勤するつもりでいやがったのです!(笑)

 もう、ふっつーに!


 結論からいえばもう大笑いなんですが、骨折でないならテーピングとかしてもらって、松葉杖とかで出勤できんこともないやろ……と、かるーく考えていたのです。

 ま、そんなもんですわな。

 別に楽観的で悪いわけやなし。


 でも、結果的にそれが幸いしました。

 わたくし、珍しく食い下がったのです。


「あの〜、先生? それ、今日受けるわけには行きませんか……?」と。

「え? あー、そうですねえ。ちょっと待ってくださいね」


 先生、プリントを手にちょっとあちこちへ行ったり電話したり。


「あ、今から行けるみたいです。すぐ行ってください」


 これ、多分めちゃめちゃラッキーだったんやないかと思います。

 たまたまその時間が空いてたんでしょうね。

 というわけですぐにMRIの撮影へ。


 MRIはレントゲンみたいな被曝はしないのでちょっと安心なんですが、金属が体に入っていると危ないので要注意です。すごい磁力が発生するからです。


 私はここのところ「ウン十肩」だったこともあって、基本的にホックつきの下着をつけてません。そのためレントゲンもなんもかんも大体スムーズ(笑)。

 つい先日、その「ウン十肩」のために町の整形外科にかかり始めたばかりだったので、そこでのレントゲンも入れると、今月はかなり被曝しちゃっててちょっとイヤンですが。


 で。

 MRIそのものは大体20分ぐらいのもんですが、あれはとにかくやかましい。


 ビービビービービーガガーガガガー


 みたいなのと、


 ブーーーー


 とかいうのがずっと交互に来る感じ。

 頭の方から筒に入るとすごい閉塞感もあるので、閉所恐怖症の方は多分しんどいやつです。

 騒音よけのため、一応ヘッドフォンをつけられるんですが、それをしてても十分やかましかった。


 んでも、ヘッドフォンからはなにやらオ洒落サレなジャズが聞こえてました。

 さすがはK市、ジャズの街。

 まっ、個人的には懐かしのアニメソングとかにして欲しかったけど(笑)。


 で、まあまたH先生の所へ戻りました。

 呼ばれて入ると、先生ちょっと変な顔をしてはる。


(はて?)


 と思ってると。


「えーとですね。結論から言いますと、違いました。全然違いました」


 ほへ?

 全然違うとはなんぞや。


「良いことと悪いことがありますが」


 はいはい、お約束やね。


「まず、軟骨じゃないです。骨でした」


 ほねー。

 やなくて、ほへー。


 映像を見せて貰うと、確かに足の下側の骨の上部、膝の部分の内部に、なんや花火みたいにパッと白い火花みたいなのがある。それは骨の内部で起こっている出血とのことでした。そのそばに、小さな小さな骨の亀裂。


「骨折、ということになりますね。幸いズレてないので……これが縦や横にズレてたら手術になっちゃうんですが」


 なるほど、そこが「良いこと」ね。


「基本は動かさず荷重をかけないようにして、治るのを待つ感じです」


 ニャルほろ。


「入院ですね」


 ほへー。

 こっちが悪いことかー。うへえ。


 診断名は、「右脛骨高原骨折」。


 ほな、MRIすぐ受けててめっちゃめちゃ正解やったんやないの?

 舐めてかかってあのまま家でウロウロしてたら、どないなってたかわからんやん。それこそ、ズレてたかもしらんやん。


 とか色々思ったけど先生には何も言わず、「そうですかー」と言ったのみで、すぐに入院手続きに入りました。

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