第8話 近所のスーパーまで、歩きまして。


 こんにちは。

 またもや追加でございます~。


 そんなこんなで、退院してから三週間ほどが過ぎました。一週間おきに病院へ参りまして、レントゲンと主治医の先生の診察とリハビリを受ける日々。


 病院までの距離は大したことないのですが、実はこちらは山でして、なにしろすんごい坂道の多い地域。

 そういうわけで、往復ともタクシーを使っての通院です。毎回、家の前までタクシーを呼んで来てもらっては、すぐ近くの病院まで送ってもらっております。

 ワンメーターで非常に申し訳ないので、毎回「お釣りは結構ですから」とお代をお渡ししております。

 全員ではないですが、素直な感じの運転手さんは、ぱあっと顔が明るくなって

「え、ほんまにええんですか? ありがと! おおきに!」

 と喜んでくださいます。ま、缶コーヒーが何本か飲める程度ですけれど、そのぐらいはさせてくださいな。気持ちですやん。


 骨折した方の右膝はというと、幸い順調に回復しているようです。レントゲン写真を見ると、膝の骨の中の部分に、白いもやもやっとした場所ができてきているのが分かります。

「この辺が治って来たってことなんです」と先生。ほほう。

 問題はむしろ、前回も書いた通り左膝やウン十肩の痛みのほう。リハビリの先生にもそこを温めてもらったり、そちらをサポートするような運動を教えてもらったりしております。

 まだ二本使いなのですが、とくに松葉杖が一本になったとき、痛い方の肩に余計に負荷がかかることになるそうなので頭が痛い。


 主治医の先生からも、

「痛いから言うてあんまり動かさずにおると、かえって筋力は落ちるし動かんようになるしでねえ。復帰が遠のくんで、おすすめできないんですわ~。痛み止めは出しますんで、なるべく歩くようにしてくださいね」

 と言われております。


 もうおっしゃる通り。動かさないのはほんまアカンからね……。

 ご年配のかたとか、それであっという間に寝たきりになりはったりするし。だから最近は手術してもなるべく早く歩かせはるし、リハビリを始めはるんですな。


 ということで、土日はダンナについてきてもらいつつ近所をぐるっと松葉杖で歩く練習をしておりました。

 

 しかしですね。

 実際やってみて「うへえ」でした。「ぜーはー」でした!

 我が家の近所のスーパーまで行って帰ってくるだけのことで、もうえらい大変なことに……。

 11月とは思えないほど気温が高かったこともあって、もう大汗かく。このご時世なもんでマスクはしてるし、息は苦しいし。

 こんな季節やのに、流れてきた汗が目に入ったわ!

 もうね、家に辿りつく手前で何度か頭がクラッときてました。気ぃ失いかけです。危なかった……。

 翌日は、体のあっちこっちが筋肉痛やし。

 左のふくらはぎのあたりの筋肉がひきつったみたいになっとるし。


 これが普段からぴんしゃん元気で筋力もある若者やったら余裕なんやろうと思いますが、なにしろ普段からそんなに運動をしているわけでもない私。

 松葉杖にはだいぶ慣れたとはいえ、長い距離を歩くのにはやっぱり不安もありました。

 病院内やマンション内の平坦な床とはちがって、外のアスファルトの道はあちこちツギハギもあって凹んでいたり傾いていたりしますし、縁石の段差なんかもあるし。

 普段ならひっかからないはずの松葉杖が、あっちこっちひっかかりますしね。

 

 本来なら、診断書に書かれていた「全治1か月(正味4週間)」がそろそろ終わるところなので、仕事の復帰を考えねばならない時期なのですが。

 申し訳ないけどこの状態では、仕事場へ到達する自信自体がもてませぬ。途中でパッタリ行き倒れてまた救急車に乗せられるとかいうことになったら、それこそ洒落になりません。ほとんどマンガやん!

 仕事そのものは、現在はそんなに動き回るものではなくなってるので大丈夫だと思うのですが、なにしろ行き帰りが不安すぎる。


 最近はほら、スマホばっかり見てて周囲をあまり見てない人も多いですしね。

 あれ、ほんま危ないですよねえ。なまじ高校生やなんかより、ええ年した大人のほうがやってはるもんねえ。

 ご本人、完全に「あたし、周りは見えてるわよ」って態度で階段やらおりてはるんですが(もちろん男性もおられます)、そばで見てるぶんには「いやいやいや。アナタなんも見えてまへんで~」ってつっこみたくなる。そのぐらい危なっかしい歩き方になってますもんね。

 せめて階段をおりてるときぐらい、スマホから目を離しなはれ。

 なんやっちゅうねん。それをいま見てへんかったら死ぬんかいな、アナタは。


 あんな人、駅のホームや階段で松葉杖に引っ掛けたら目も当てられんし。あっちもそうやけど、こっちも転ばされかねへんしね。

 まともな状態でも危ないのに、今の状態では危ないなんてもんやないし。駅の階段を転がり落ちていく自分が想像できてまうもんね。


 なんや話がそれましたな。

 ともかくも。近所のスーパーへの往復から帰って来たダンナの感想。


「いやあ。今日見てたけど、来週から仕事とか、まだ無理ちゃう?」


 なんやしらん、えらい嬉しそう。

 なんやそのほくほく顔は!


「いや待って。アナタ、単に私に家にってほしいだけとちゃうん! リモートワークやから、寂しいからって」

「うん」

「即答やし! ほんで目がマジすぎるし!」

「えへっ……」


 はい、そうなんです。

 現在リモートワーク中のダンナは、内心200%私に家にいて欲しいらしい。

 「あぶないやん、心配なのよ」とか言いながら、実は一日でも長く私に自宅にとどまっていてほしいだけやったりするらしい(苦笑)。

 なんやねんなもう。


「治るの、もっと遅くてもいいのよ?」


 とか、しれっと言いやがる。

 まったく、正直なやつめ!

 さびしがり屋さんこんにちはめ!


 というわけで、そんなこんなの最近のつづれでした~。

 ではでは!

 

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