第4話 車椅子に、なりまして。

 さてそんな顛末で入院が決定したわけですが、大変だったのはおもにダンナ。


 あっちこっち、重い荷物を持ったまま血液検査・尿検査・またまたレントゲン(ただし胸部)・心電図と動き回らされ、その間ずっと車椅子を押してくれてましたので。


 入院が決定したので、慌てて仕事先の学校へ電話を入れる。近々研修もある予定だったので、教頭先生にK市の教育委員会の学校司書を管轄する部署へご連絡をお願いする。


 病棟の看護師さんがこられて案内され、昼過ぎにはちょいんと病室のベッドに座っておりました。

 ダンナもすでに疲れてベッドの端に座っております。

 あれこれと説明があり、書かねばならない書類をわんさか渡される。


 それが一段落して、ダンナは一度寝間着など入院に必要なものを取りに戻ることになり、そこでようやく私はダンナ作のお弁当を頂きました。もう2時半になっていました。


「何が要る?」


 と聞かれて真っ先に思ったのはスマホの充電器。次がいつも小説を書いてるノートパソコンでした。

 あとは普通に寝間着とか着替えとかバスタオルとか歯ブラシとか。


 ダンナについては拙作エッセイ「うちのダンナはぽっちゃり男子」に詳しいですが、とにかく家事は全てパーフェクトにこなす人。料理は大好き、というか作るのに面倒をいっさい覚えない人です。普段のご飯はほぼダンナが作ってくれていますし(苦笑)。


 だからお弁当も、本人はリモートワークで必要ないのに作ってくれていたわけで……。

 今回は本当に、そういうダンナと結婚して良かったわあとつくづく思いました。


 一般的な主婦の皆さんが「すわ入院!」なんてことになると、「さあ家事どうしよう!」とご主人さんがお手上げ状態になることは、ままありますよね。ほんまはそんなんおかしいんやけど。

 子供の面倒までは細かく見られんとしても、せめて自分の身の回りの事ぐらいはできるようであってほしいもんですわなあ。一応、大人やねんからさ。


 ま、それはそれとして。

 家事はノープロブレムでも、いかんせん、ダンナはめちゃめちゃな寂しがり屋さんです。


 その後、私がお願いした荷物をいっぱい抱えて、わっせわっせと大汗かいてもう一度来てくれたのですが。病室のベッドで2人になった途端、なんかめっちゃ寂しそうな顔をする! しょぼくれたムー○ンになる!

 しょうがないのでお手てや背中をなでなでし、○ーミン的ぽっちゃりお腹をもみもみして、


「ちょっとしばらく寂しいけどガマンしてね。夜、寂しくても泣いちゃダメだよ〜(笑)」


 と、冗談半分に慰めました。

 ダンナ素直に「ウン」という。

 めっちゃ素直である(笑)。

 目がめちゃくちゃ何かを訴えてる。


 ……あのさあ。

 そんな泣きそうな目、せんでええやん!

 そんな顔されたら、おちおち入院も出来へんがなー。


 でもまあ、すでに両親ともおられなくて天涯孤独で、血の繋がりがあるのはムスメだけの人ですしね。人一倍寂しがり屋なのは当たり前ですし。


「よしよし。なるべく早く戻れるようにリハビリとか頑張るからさ!」


 と頭をなでなでして励ます私。

 いや普通逆じゃろ!

 入院する方が「頑張ってね」とか励まされるんとちゃうん、普通!


 と、めっちゃ自分で自分にツッコミ入れまくっておりましたが。


 世の中はこのコロナ騒ぎ中。

 ほかの入院患者さんたちも、基本的にお見舞いの方を病棟へは入れないことになってるそうです。

 今回ダンナが2回も入れたのは、急な入院になったから。あくまで特別な計らいやったわけです。

 普段、洗濯物などは看護師さんを通してやり取りし、お見舞いはガラス越しになるとのこと。


 うはあ。

 やっぱりコロナは厳しいんですねえ。

 自分の勤める図書館でも実感してましたが、さらに実感したわあ。


 ムスメなんて、私が出勤する時にはまだグースカ寝ておりまして、実はまともに顔も見ていなかった。

 さすがにちょっと本人も心配して、お昼に(本当は校内ではスマホ使用禁止なのに)LIN○してきておりました。


 ムスメからは

「それでも執筆はする小説家の鑑」

 とのお言葉を頂戴しました。


 褒められてる……んだよね?

 え、違う?


 私はと言うと、当日中に主治医の先生に右膝にぶっとくて黒いガードみたいなの(二―ブレスとかいうらしい)を装着されまして、「足が黒いガンダムになった笑」とかTw○tterで呟くぐらいにはのんきでした。


 なんか当日は熱を計ったら37度9分とか38度1分とかあって「なんで??」と思ったんですが、骨折をすると割とあることのようで、看護師さんも誰も大変そうな顔はしないし、私もそんなにしんどくないのでやっぱりのんきにしておりました。


「先生が、だいぶ遅くなるけどリハビリに来はるので」


 と看護師さんに言われたんですが、なんや待てど暮らせど来られない。

 いつ来るのかなあと思ってると落ち着かず、執筆もできないので本を読んでました。

 そのうち晩御飯の時間になる。


(もしかせんでも、足をガンダムにしに来はったアレがリハビリだったんやろか……???)


 なんや頭の中が疑問符だらけのままに夕食です。

 これがまた、美味しいんやけどもなんや妙に量が多かった。


(なんか、めっちゃめちゃご飯多くない…?? 私のいつも食べる量の倍はあるよ?)


 と思いつつ食べ、やっぱり食べきれなくてご飯だけ半分残しました。


 何やかんやしておるうちに、その日は暮れました。

 先生は来なかった。

 やっぱりアレがリハビリやったんやね……(笑)。


 と思ってたけど、実は違った!

 詳細は「待て次号」です。

 よろしかったらどうぞ〜。

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