優しさと美しさ

何か人の優しさに触れた、そんな作品だった。もしかしたら、的外れなことかもしれないが、そんな感じを受けた。
本作はSFは設定としてありながらも、戦争とその意識の名残りが多く残っている。殺伐とした戦後を背景に、ここで描いているのは愛や優しさ等の人の内面だった。
人というものをしっかりと受け止めていなければこういう作品は書けないと思う。そして優しさがなければこういう作品は書けない。愚直ではなく誠実。そういう印象だった。
それ故に美しさがある。ただ殺伐とした冷たい雪原を描くのではなく、そこに咲く一輪を描いたところに優しさと美しさがある。

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