「純文学」の普遍性をこころに訴えかけてやまぬ、魅惑的な短編。

ひとのこころや、この世のあり方への含みを加えながら、かつ流暢で哲学さえ感じる文体、見事の一言です。「純文学」とは何を言うのか、という問いをお持ちの方はそのひとつの答えとして、一度お読みになるとよいのではないでしょうか。けっしてそれは退屈でも古くさいものでなく、漱石の時代にも、今の時代にも、そして多分あるであろうこの先の時代にも、一貫して通じる「なにか」を持っている、そんな印象を私は感じました。その「なにか」が何であるかは、また人によって異なるのでしょうけれど。

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