■機体設定<ナイトリーパー>

■諸元

 型式:VB-13 (Block1~40)

 名称:ナイトリーパー

 分類:可変型高々度精密爆撃機

 全高:50m(人型形態時)

 全長:70m(航空形態時)

 全幅:60m(航空形態時)

 武装:機首パルスレーザー砲、高周波振動クロー、他


■解説

〇概要について

 ナイトリーパーは高々度精密爆撃機の一種である。

 本機の特徴は極めて高いステルス性であり、現在人類が運用する兵器の中でも最高峰の電磁的/光学的/音響的ステルス性能を誇る。機体構造そのもののレーダー反射断面積(RCS)は決して小さくないものの、実際には新機軸の電波吸収体を構造材に多用することで極めて小さなレーダー反射しか許さない設計となっている。無音飛行が可能とも言われる。

 本機は機密度が高いために公開されている情報が少なく、一説には"汚い仕事"を請け負っているとも言われるいわくつきの機体である。過去には本機の編隊が怪獣に制圧されていた市街地を焼き払ったという報道もなされたが、軍広報部はただちにただのデマに過ぎないと否定している。


〇ステルス性について

 まず黒い装甲表面には一種のメタマテリアル素材が採用されており、レーダー波の消波を引き起こす微細構造表面処理と併せてレーダー波を反射させないことで、高い電磁的ステルス性を実現している。

 光学的なステルス性を実現するために光学迷彩機能が搭載されており、機体全体にリアルタイムで全景を空中投影する方式で透明化を実現している(この方式は機体内から外部を観察することが出来る為に、偵察任務を行うケースも多い本機にとって有利な光学的迷彩処理となる)。

 加えて音響的ステルス性も配慮されており、本機は推進器にイオンスラスタを採用することでジェットエンジンのような騒音を発生させないようになっている。また主翼はまるでコウモリのような膜を張った見た目となっているが、これは流動性合金で形成された弾性翼の一種であり、飛行中も常に形状を変化させ続けることで風切り音を抑える。

 これらの恩恵によって、本機はたとえ怪獣の勢力圏を低空飛行しても気づかれないほどの隠密行動能力を手に入れるに至った。


〇背景について

 このようなコンセプトの機体が開発された背景には、ある時期から生体レーダー器官を持つ怪獣種が確認されたことにある。現在でも小型クラスの怪獣にはレーダー能力は確認されていないものの、中型クラスの一部、ないし大型クラスの怪獣が持つようになった高度な対空迎撃能力は、人類が運用する航空戦力にとって大きな脅威となった。

 航空戦力の損耗を抑えるために模索されたコンセプトは様々あるが、その一つがナイトリーパーのような高々度精密爆撃機である。基本的には高々度を飛翔する事で怪獣の索敵範囲/攻撃範囲を避けつつ、高いステルス性を併せ持つことで高度を下げての行動も可能とした本機は、対空能力が確認された怪獣にさえ爆撃を行えるほどの能力を獲得した。


〇武装について

 本機の武装は少なく、通常は機首下の砲塔に搭載されたパルスレーザー砲を用いる。

 これは固体レーザー方式を採用した高出力モデルであり、機首部の単眼型モノアイセンサーと連動する事で良好な命中率を発揮する。発射サイクルは定格出力で毎秒10発ほど。人間や小型怪獣などは一照射で蒸発させ得るが、一方で大型怪獣クラスの相手にはほとんど無力である為、大型の対怪獣戦闘においては決め手に欠く武装である。また爆撃機という性質上、地上に向けて発射することがほとんどだが、砲塔に搭載されているので射角が広く空中戦でも使用可能。

 ミッションによっては主翼下に小直径爆弾を搭載することもあり、多くの場合、焼夷目的に特化した戦術核弾頭か対怪獣用のバンカーバスターを装備する。

 マニピュレータと一体化している高周波振動クローは、人型形態時にのみ用いる緊急避難的な自衛用武装である。高々度爆撃に特化した本機が近接戦闘を行うこと自体がほぼ無いため、このクローを用いた記録は極めて少ない。


〇変形について

 本機は、人型形態への変形機能を持つ可変爆撃機でもある。

 理由は慣性制御システムの運用にある。本機を始めとする対怪獣用兵器には、怪獣由来のオーバーテクノロジーの数々が積極的に採用されている。その一つが物体の運動量を操作する(※厳密には異なるが割愛する)慣性制御装置イナーシャル・キャンセラであり、対怪獣用兵器には標準的に搭載されるほどに普及している。

 しかし、これを最大限に活用するには慣性制御装置イナーシャル・キャンセラ同士の相対座標を最適化する必要があり、結果として対怪獣用兵器はどれも人型に近しい形状を持つに至っている。

 つまり対怪獣用兵器は、人型をとることで機体各部の慣性制御装置イナーシャル・キャンセラの配置を最適化している。これによって同じく慣性制御能力を持つ怪獣に対抗可能になる他、殴る/蹴るといった動きと組み合わせれば格闘戦時の破壊力が飛躍的に高まる。また機体周辺の運動量を操作することで一種のバリアとして活用する事も可能で、特に個々の運動量が小さい粒子ビームに対して、ある程度の防御能力を発揮するようになる。


 特にナイトリーパーのような可変機の場合、航空形態から人型形態へ変形することで、緊急時に元々は高くない装甲防御能力を最大限に高められるという利点がある。また変形システムを採用したがゆえの副産物ではあるものの、人型形態時に脚部となるスラスターは、飛行形態時には三次元偏向スラスターとして機能するために高い運動性を実現している。

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