十五夜に子供たちが集めて回る豆と、謎のリヤカーマンが運ぶもの

地域に根付く不思議な行事。慣例的に行なっていたそれが、そもそもどんな由来で始まったのか、人々が知ることは少ないのかもしれません。

子供たちが豆を集める満月の夜の、ちょっとソワソワする空気がリアルです。
彼らにとってはただ楽しい、なんとなく特別な行事。

謎の男『リヤカーマン』の不気味さが、何とも良い味です。
ひたすら得体の知れない存在だった彼の印象が、最後のシーンでガラリと変わるのがとても神秘的で印象的でした。

豆を集める行為の意味を、現世に生きる子供たちが誰一人知らなかったとしても。
そうやって慣習が続いていく、ゆったりと平和な時が流れていくということこそが、大切なのかもしれません。

少しぞくりとしつつも、温かな読後感。
とても好きなお話でした。

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