「十五夜の子供たち」

作者 夷也荊

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★★★ Excellent!!!

月が満ちる時、いつもの通学路に星天の奇跡が浮かびます。
或る地区にだけ伝わる「中秋の豆名月」
そのイベントは他の地区に知られないよう、大人も子供も協力して、ひっそりと執り行われます。
和風ハロウィンと言えるイベントです。
それを「きちんと、終わらせる」のは、謎のリヤカーマンと子供たち。
ラスト、満月と共に夜天に鏤められた美しい星々に、幻想的で切ない想いを感じられることでしょう。
読後に余韻を残す純文学的短編です。是非、ご一読ください。

★★★ Excellent!!!

この地に根付く行事は、他言してはならない。
中秋の豆名月に神の内。
完成された人間にも満たない存在の小学生が各家を巡り歩く。

目を合わせてはいけない、空のリヤカーを引く男の存在理由とは。
日本版ハロウィンにこめられたものがなんなのか。
その目で確かめてみてください。
きっとほっと心が温かくなり、晴れた夜空を見上げたい気持ちになるでしょう。

とても素敵な物語です。

★★★ Excellent!!!

色んな地域に、地域特有の伝統行事があるのだと思う。
この物語では十五夜に豆を隠し、集める。
大人でも子供でもない小学生が行う行事だが、小学生の弟を持つ大学生の視点からの行事への考察は興味深い。
子供たちが楽しんでやっている行事の本当の意味は? 考えると怖くもなるが、真実は分からないままだ。

そんな行事が描かれると同時に不審者である「リアカーマン」がでてくる。
皆によく思われていないようで、登場した時は胡散臭さを感じたが、ラスト、その印象がガラリと変わる。
彼が運んでいた光るものの正体は一体何だったのだろう。分からないままだが、十五夜の月の下で一斉に放たれ飛んでいった光はとても幻想的で、神秘的だ。

豆名月とは本当はどんな意味があるのか。
謎は謎のまま。
けれど読後の幻想的で現実離れした雰囲気に何か感じるものがある。

★★★ Excellent!!!

地域に根付く不思議な行事。慣例的に行なっていたそれが、そもそもどんな由来で始まったのか、人々が知ることは少ないのかもしれません。

子供たちが豆を集める満月の夜の、ちょっとソワソワする空気がリアルです。
彼らにとってはただ楽しい、なんとなく特別な行事。

謎の男『リヤカーマン』の不気味さが、何とも良い味です。
ひたすら得体の知れない存在だった彼の印象が、最後のシーンでガラリと変わるのがとても神秘的で印象的でした。

豆を集める行為の意味を、現世に生きる子供たちが誰一人知らなかったとしても。
そうやって慣習が続いていく、ゆったりと平和な時が流れていくということこそが、大切なのかもしれません。

少しぞくりとしつつも、温かな読後感。
とても好きなお話でした。

★★★ Excellent!!!

日本版ハロウィン?
十五夜の日に各家庭を回り、敷地内に隠された豆やお菓子を探す子供たち。
昔からある地域限定の風習。なぜ豆なのか。なぜ隠すのか。
真相は分からないが、一つの仮説が語られる。
そして、謎の男。リヤカーマン。彼が空に返したものとは?
ノスタルジックで幻想的。地域の風習の裏を知りたくなる作品。
夜空を見上げたくなる美しい物語をどうぞ。