王族としてのしがらみ。姫を取り巻く黒い思惑。ユナは一体何ができるのか。

合理的に考える冒険者ユナは、女神セレーネの導きと呼ぶべきか、奇しくも誘拐され奴隷として売り飛ばされそうなアリーシャ姫の元に辿り着く。国がらみの面倒ごとの匂いがするものの、ユナはアリーシャを助けることにする。本作は、政治的思惑が交錯する、ファンタジー作品である。

生き生きとしたキャラクターが登場し、その一人一人の深みを感じさせられます。特に印象的だったのが、第四話のアリーシャ姫の靴を脱ぎ捨て、駆けている描写。「あとは何を捨てれば、」という下りに、思わず姫にそう言わしめた彼女の背景を覗けた気になりました。聖女と呼ばれる彼女の影を。

十話まで読ませていただきましたが、いよいよ物語が動き出す予感がひしひしと伝わります。姫を取り巻く政治的な思惑が何なのか、気になります。