ジャスレイは冷静な判断力に豊富な経験を持つ冒険者。そんな彼が単独で行動する理由は、彼の運の無さにある。ジャスレイは例のごとくの「凶運」を発揮しながら依頼をこなしている途中、異世界から飛ばされてきた青年トールと出会い、行動を共にするようになる。本作は彼ら二人の冒険をジャスレイの目線から語っているものである。
良く練られた物語に読みやすい文体は勿論の事、個人的には登場人物一人一人の立体感がたまらない作品です。好奇心旺盛なトールとの年齢や経験の差のせいか、ジャスレイは何かと保護者のような語り口になるのが面白いです。
40話まで読みましたが、彼ら二人の冒険がどのような結末を迎えるのか、読み進めたいような、まだ終わってしまって欲しくないような、そんな複雑な心境です。
凶運の冒険者ジャスレイがトールと出会うところから物語は始まり、やがて二人は絶対的な超越者エルフとの因縁に巻き込まれていきます。
ファンタジー世界の描写も魔法や魔物の設定も練り込まれていて、世界観にあっという間に引き込まれます。命がけの魔物との戦闘、エルフの不穏な描写や登場人物が感じる恐怖はよく伝わってきて、どうやって乗り越えるんだろうと続きが気になるほどハラハラドキドキします。
ジャスレイやトールたち登場人物も魅力的で厚みがあります。途中で湖付きの少女ヴァンネーネンが旅の仲間に加わると彼らの会話も一層楽しくなります。まるで読者も彼らと一緒に冒険しているような気分になりますよ!
完結まで読めて良かった! 大満足です!
何故かいつも災難に巻き込まれてしまうオジサン冒険者ジャスレイ。運命の悪戯か、異世界(現代)からやって来た青年と旅をすることになります。まず、この二人の出会いがコント並に面白いです。
ジャスレイには特別、特殊な能力はありませんが、決して弱くはありません。自分自身や仲間の条件を考えて戦況を読み、勝ちを導き出します。味のあるキャラで、運は悪くても頑張ってほしい!と応援したくなります。
落ち着いた文体で、まるで中世ヨーロッパを旅している気分になります。特にお料理の描写はとても美味しそうでした。主役二人の心情や背景も丁寧に描かれていて物語に引き込まれます。
「凶運」のおかげか?怪しいエルフの依頼を受け、到着した先でも新たな災難が。ジャスレイはどう切り抜けるのでしょうか。是非、最後まで読んで頂きたい作品です!
余談ですが、こちらの作者様は純文学も手掛けられます。異世界ファンタジーも書いて純文学も書けるのは珍しいと思います。是非、他の作品も覗いて見て下さい。
どんな相手と組んでもなぜか不運に見舞われる冒険者ジャスレイと、空から降ってきた謎の若者(ツッコミ属性)のロードムービーを思わせる冒険ファンタジー。
沈着冷静かつ用意周到で実は有能なのに、でも隙があって完璧からは程遠い、けど優しくて面倒見の良いお人好し——そんな愛すべきおっさん(失礼)と、何を見ても感動しつつ、ジャスレイのすっとぼけた行動にしっかりツッコミを入れてくれる青年トールのかけあいが軽妙で楽しいです。
かと思いきや、巨人族風かつ時に冷酷、という従来ではなかなか見ないエルフの設定から、とある秘密の武器を巡る冒険につながっていくなど物語のバックグラウンドもしっかり練りこまれています。
そして、時折見せるトールの暗い陰の描写、それでもそれをひょいっと大きな器で受け止めてしまうジャスレイの優しさに思わず震えてしまいました。
メインの二人だけでなく、エルフに仕える秘密の多そうな女の子や、敵対する怪しげな人々など、それでもどこか憎めないキャラクターたちが脇を彩り、戦闘シーンもジャス本人は「姑息」などと評しますが、有限の能力を創意工夫で補うその様が実に楽しいです。
Web小説らしくない、ぎゅうぎゅうに詰まった、世界が目の前に浮かび上がるような描写も魅力。王道ファンタジー好きな方にイチオシの一作です!