web小説界に巻き起こる一陣の風。こういうのをハリウッドでやってくれ!

 舞台は架空の未来を歩んだ日本。
 そして主人公は、小さな運送会社の社長兼トラックドライバーとして働く巽 晃一。
 彼は大型研究施設『ふくしま特別研究都市』への配送の途中、立ち往生している美女に手助けをしようと声をかける。これが、とんでもない列島大横断の始まりになるとも知らずに——。

 クールな美女、彼女の連れ出した訳ありの可愛らしい少年、追ってくる黒スーツにハイウェイでのカーチェイス、銃撃戦まで。
 心の広い、困っている人を放っておけない、フォークリフトにも声をかけてしまうような温かな人間という印象のある巽にも、実は暗く付き纏う過去があって……。

 なんなんですか! 面白すぎません!?
 人間ドラマにハイテンションな会話の応酬とカーアクション。いや、本当、こういうのをハリウッドでやってくれ。

 一人一人の人間模様もさることながら、キャラクターがどれも魅力的すぎてグイグイ読まされてしまう。激動の四日間は、その日数以上の重みと衝撃を読む人間に与えるはずだ。

 そして痛快、爽快。重い背景や人間関係を孕みながらも、彼らの関係性は依存のようにお互いが堕ちていくドロドロしたものではなく、必ず前を向いて走っている。きっとその風のように駆け抜けていくストーリーに、あなたも絶対に諦めない希望を胸に、ラストまで手を引かれてしまうのではないだろうか。

 ……個人的に、ラスト付近のサイカとお父さんのやりとりが胸熱でした。

 明日はどんな風が吹く!?
 ヒーローは、ヒロインはどいつだ!?

 読者自身もギアをフルスロットルにして、彼らと共に明日を目指そうではないか。

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