壊してゆけるか、壊してやろうか

 こーーーれめっちゃ面白いです! 掴みがまず抜群で、檜扇忠臣の狂気じみた信念をがつんと叩き込まれます。信仰テーマにして信仰を屠ろうとするキャラがメイン、面白くないわけがないですね……。思い通りにいかないからと血の涙を流す主人公、イカれていて本当に好きです!褒めてます本当です。
 主人公檜扇忠臣はキャラ立ちも完璧であり、一気に物語に入り込めます。流石だなー! 神崎さんの小説ってキャラの印象がいつも強く残るんですよ。造詣が達者で、その土台があるからこそ内容も映えるんじゃなかなと個人的には思っております。
 一話目の重要さをわかっていらっしゃるというか、冒頭から飽きさせない展開が続きます。この、しれっと名だたる武将が死んでて「えええ!?」となるようなところもいいですね、エンタメのレベルが本当に高い作品ですよこれは……。救われると巣食われるをかけているところも好きです。
 檜扇と対になるように出てくる邪のキャラクター性もかなり良く、特に技名的なものにちょっとはしゃいでしまいました……。私西尾作品はアニメ漫画でしか摂取したことのないニワカなのですが、とある漫画のとあるキャラのオールフィクションという性能が好きで……なんというかそういう技を感じました!
 四話での切り返しも抜群に面白いです。あっそういうこと!? となる感覚大好きなのですが、それを存分に味わわせて頂けて大満足です。時代物ということもありけっこう固い文章なのに、ルビ効果もあってかなり読みやすいところも素晴らしい。
 おもしろかったです!!