男性同士の友情つまりブロマンスに重きが置かれた掌編で、その熱さと厚さ、添えられしカードゲームの味わいと、見るところが無限にありますが何と言っても最後の最後「まだ」が「済」になるかならないかという段で下された決断とその理由にははからずも涙腺が緩みました。一生一緒に仲良くカードゲームをしていて欲しい……そんな気持ちになりました。彼らに幸多からんことを!
原初、人は誰しも童貞であった。そんな記憶はないはずなのになぜか心が苦しい。陰キャ大学生の日常としょうもない苦悩に対する解像度が高すぎる。それでいて陰鬱な気分にはならない匙加減が絶妙でした。途中で挟まれるカード解説も好きすぎる。万物をゲームで例えようとするオタクの習性を端的に捉えていて見事でした。