運命と願い、それを掴みに歩んだ一人と仲間の愛の物語

人や精霊、竜や狼などたくさんの種族が住まう世界。過去に大きな戦いがあったその世界で、あまり恵まれた境遇とは言い難い人生を歩んできた主人公ディル。

まずこの主人公がとても美しく、儚い。
話し方の中に、自分を算段に入れてないような言葉が紛れていたり、戸惑っている表現もまたディルの儚さと美しさを良く表していると思います。

幸せや人の温もりに対してよくわからないと思っているディルの危うさには少しハラハラしますが、ある出会いからそれが変わっていく。
数々の運命に巻き込まれながらも、徐々に自分はどうしたいのかと前を向いて歩き出す姿が本当に綺麗。

そしてディルに触れていくことで変わっていく、共に旅をする仲間の感情が丁寧に描かれています。

『ここではないどこかへ、』
運命を、その宿命を諦めたように受け入れていくかに見えた人々が、愛する心と共にどういう結末を選び、未来を掴み取るのか。

この美しい物語を是非見届けてほしい。

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