古代ローマで緊急事態宣言⁈突っ走る両片想いの勢いは流行り病じゃ阻めない

古代ローマを舞台にした、じれじれもだもだすれ違いラブコメです。
身体の一部が獣化してしまう未知の感染症が蔓延り、感染者が差別されているという世の中。
現代のコロナ禍の状況にも通じる設定は、斬新ながらも身近に感じます。

しかし、重さは全くありません。
作者さまお得意の両片想いが楽しくて、さくさく読み進められるお話になっています。
純真そのもののヒロイン・ユリア、朴訥ヒーロー・ルシウスを中心に、勘違いからのすれ違い、どうしてそうなる行き違い、そこへ兄やら使用人やらも交え、拗れ絡れの立体交差。
何度「なぜだァァァァ!!」と悶え転げながら叫んだか分かりません。なぜだァァァァ!!(※いいぞもっとやれ)

当時の貴族文化の描写も詳細で、作品の雰囲気に華を添えています。
二人の想いが通じ合い、幸せな生涯が綴られるラストはとても爽やかで清々しく、心にじーんと沁みました。

感染症そのもの以上に、差別や偏見など、人の心が生み出す闇は深いものですが、それを乗り越えるのもまた人の心でしょう。
笑えて悶えてときめいて、そして現代への教訓も感じ取れる、素敵なお話でした。面白かったです!

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