助けるためにその手を取るのか? 連れて行くためにその手は取られるのか?

 いつもなら、人で埋め尽くされているはずの、駅のホーム。今日、そこにいたのは、主人公の私と、制服姿で蒼白な顔をした高校生の女の子だけだった。

 その女の子に正面からじぃっと見つめられるわたし。
 その女の子が立っている場所は、わたしの正面、そして点字ブロックの向こう側。

 シチュエーションはご理解できただろうか……?
 その女の子は、線路上にいるのです。
 主人公の私が、危険をおかしてまで、その場所から助けようと手をのばすが、女の子の反応はありません。
 そこへ、当然のタイミングで入線してくる地下鉄の車輌。必死に助けようと手を伸ばす私。しかし、女の子は微動だにしないまま、車輌に飲み込まれていく。

 点字ブロックという一線を超え、虚の世界に踏み込んでしまったのか……? はたまた、現の世界に佇んだのか……?
 結末は、ご自身の目でお確かめくださいませ。

 ほら、あなたの目の前にも、その女の子がいるではありませんか……。