それが俺の冒険譚

　全てを失い、全てを諦め、全てを拒絶した少年、一条隼人。

　そんな彼は、修学旅行先であった京都で、不意のぬかるみに足を取られる。
　果たして、そんなぬかるみが実際に存在していたのか。ソレを確かめる間もなく意識を失った彼が、意識を取り戻し目撃した光景は果てしなく続く草原だった。

　明らかに知らない場所、明らかに知らない固有名詞、地名。
　魔法や魔術の存在。

　詰まる所、そういうこと。
　―― 一条隼人は異世界に来てしまっていた。

　全てを失ったというならば、この世界でなら、新たに何かを手に入れることができるかもしれない。
　全てを諦めてしまったならば、この世界でなら、その譲れない何かを取り戻せるのではないだろうか。
　全てを拒絶したというのならば、この世界でなら、受け入れることができる…続きを読む