やばい。これはやばい。揺さぶられる。

この、人と人の感覚のズレを知っている。
自分の興味分野でしか話せない人。誰かと同じ、共通の世界や話題で生きたい人。普通に生きたいと願えば願うほど異質であることが受け付けられず、ボロボロになっていく人。

そこには、社会的・倫理的な善悪も、精神的な強弱もない。
ただ、それぞれの時間を必死に生きているだけだ。

繊細すぎて病む友人と、自分の世界だけで完結する母。
主人公は、ただ淡々と「人は孤独である」事実を見据えている。
他者を変えることは出来ない。どうしようもないことを受け入れながらも、それでも少しでも他者と同じ世界で生きることを主人公は夢見る。
そんな物語です。

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