道化少女と僕と

ネタバレになるので詳しくは書けないのですが、虫と笑顔を組み合わせた設定の立て方はとてもユニークで、異様なはずなのに微笑ましいという独特の姿を想像させます。そしてエピローグの美しさ。少年と少女の恋が宇宙まで貫くことに違和感のない設定に、どこか壮大さを感じさせます。丁寧な描写力のなせる業ですね。

雪国で暮らす男の子と女の子の話。男の子が血の繋がりは無いけれど一緒に暮らしていた女の子を好きになってしまい、どうしても意識してしまうからと家を出て一人暮らしを始めたのに、女の子が朝早いの辛いからと通学の為にバイクで女の子を迎えに行く事になっちゃったから大変だよねというのが大筋。
初っ端から女の子の頭が取れるという不穏なワードがあったのでホラー系かと思いましたが、実際はガチ恋愛物でした。映像にしたらホラーかも。
詳しく語るとネタバレになってしまって初見の面白さが激減するので曖昧にしか語れませんが、ずっと一緒に暮らしていたらそうなってしまうのも仕方ないよね。人と人でもパターンで会話する場合沢山あ…続きを読む

　人を笑わせることが好きな少女と、その幼なじみの少年の小さな恋のお話。
　十代の初々しくも切ない恋の形を描いた、甘酸っぱい恋物語でした。いや「でした」というか「なのにね」というか、なかなかどうしてとんでもない曲者みたいな側面があって、そしてそこが最高に好きです。
　手法や演出の面でゴリゴリに変奏を仕掛けてくるのもそうなんですが、個人的に特に魅力を感じたのはやはり設定の面での奇抜さ鮮烈さ。具体的には説明文で注意されている要素のことなのですけど、なんだか突然場外ホームランを叩き込まれたみたいな感覚があって、でもそれがただのインパクト狙いに終わらず、むしろ物語の根幹そのものだったりするところがたま…続きを読む

人か否か、という問いを軽やかに飛び越える思春期の輝きと未来への願い。

とんだ道化を演じるつもりでいたあの子と、その子がいる意味を真剣に考えぬいたあの子が、これからもずっと一緒にいられますように。