誰のせいでもないから、誰を責めたら、君がいないと納得できるのだろう……

 冴えない高校生活を送っていた、この物語のヒロインは、ほかの女子たちにトイレ掃除を押し付けられていた。
 ある時、そんな掃除中に入ってきた「君」に、思いもよらぬことを言われる。

 当日、はやる心を言い訳で押さえつけ、約束の場所で待ち続けた。しかし、「君」と逢うことは叶わず、ひとり泣き濡れて帰宅の途につく。

 そして、担任からの電話……。「君」が今朝、亡くなったと……。

 その「君」の葬儀の場で、「君」の幼馴染みと出会う。そして、このことがきっかけとなり、ヒロインの考え方も少しずつ変わろうとしていた。

 哀しい内容ではあるけれど、ヒロインの真剣に思い悩みながら変わろうとする姿勢に好感が持てる。誰かが、そばにいてくれる……という安心感を得られる物語である。

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紫陽花みたいな