宇宙ヤバイ

 宇宙を彷徨う不思議な天体、なんか透明なすごい何かがなんかすごいことになるお話。
 説明できません。壮大なスケールのSF、といえばきっとそうなのですけれど、それ以上のものというかもっと大きくて単純な何かのような、とにかくなんだかものすごいものを見ました。すごい。ヤバイ。宇宙ヤバイ。
 宇宙に関する逸話を見聞きするとき、そのあまりの規模の桁違いさ加減に頭がぽかーんとしてしまうことがあるじゃないですか。それです。「そういう作品」ではなく、〝それ〟をそのまま文字で持ってきている、この作品はそういうお話です。文章は読みやすく、書かれている内容も理解できないほど難解なところはないのに、でも脳裏に再生される物語があっさり認識の上限をぶっちぎってしまう。書かれていること自体は理解できているのに、でも理解不能の存在と相対させられてしまう。この感覚。宇宙に想いを馳せたときの足元がソワソワする感じ、〝それ〟をそのまま文字列の中の物語性で構築してしまう。
 大変なものを見ました。「読んだ」というよりは「体感した」という感じで、もう皮膚感覚のレベルで面白いです。終盤の展開にはもうどうにも言いようのないカタルシスがありました。こればっかりは正直まったく説明できる気がしないので、是非とも実際に読んでみてください。

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