双災の勇者〜小さな勇気を君に紡ぐために〜

神崎龍夜

異世界への召喚

第1話 召喚

「ーけるからー。ーったい、助けーやるー。絶対、俺が助けてやるからな!」




 …パシッ!

 生徒名簿で頭を叩かれた


「んぇ?……あっ!す、すいませんっ!」

 

 教室中に笑いが響く


「闘熾、お前が授業中に寝るなんて珍しいなぁ。だが、授業中に寝たことに変わりはない。減点だぞ!」


 キーンコーンカーン

 昼休みのチャイムが鳴った


「はい!これで授業は終わりだ!みんな、昼行ってこい!」

 

 昼休みが始まると共に、闘熾のスマホに着信が入る


「ん?なんだこれ」


ー1時間以内に屋上へ他の者は連れてくるなー


「ねぇ闘熾。なんか、変なメッセージが来たんだけど。見て、これ。」

 

 零奈だ

 闘熾は零奈のスマホの画面を覗き込む


「あ!それ俺も来たんだけど!なんなんだろうなこれ…。」


「闘熾にも?なんか面白そうだし行ってみる?」


 零奈は興味津々だ


「まぁ、暇だし行ってみるかぁ〜」


 屋上への扉は空いていた

 しかし、そこには快晴の空が映るだけだった


「誰も…いないね。なぁ〜んだ。」


「なんでちょっと残念そうなんだよ。ま、なんかの悪戯だろ。戻ろうぜ。」


 その直後、後ろから大きな衝撃が。


「ん…んん。んだよ…くっそ。いてて…。」

 

 何者かに後ろから殴られて、気絶していたようだ

 隣には零奈も倒れていた


「おい!起きろ、零奈!大丈夫か!?」


「ん…闘…熾?あっ、ごめん。寝ちゃってた…?」


「いや、気絶してたんじゃないか?俺も気絶してたし…。それより、俺たち屋上にいたよな?いつのまに室内に…。」

 

 零奈は周りを見渡す


「本当だ…。でも、なんか暗くない?」

 

 周りの壁に松明が置かれているだけでほかに照明はなく、薄暗い


「地下室かな?少し湿気があるね。」


「閉じ込め…られた?拉致…監禁…呼び出しメッセージ…。だぁぁー!考えるのやーめたっ!」


 サラッ…


「なっ、なんだ?砂…?粉…か。」

 

 砂状の物が闘熾の指に触れる


「見て!闘熾!円形に白い粉みたいなのが敷かれてるよ。なんだろうこれ?」


 2人は頭を抱えるが、一向に答えは出てこない。


「…っ!魔法陣とか?!もしかして、異世界召喚?!やっと俺に出番が回って来たか!」


「もぅ…喜んでないで深刻に考えてよ!隣にはか弱い女の子もいるんだから!」


「か弱い…?かどうかは置いといて、それもそうだな、わりぃ。」


「ちょっと!どういう意味よそれ!」


 視線を感じそちらに目をやると、薄暗くわかりにくいが複数の人影が見えた


「誰だ!誰かいるのか?!」


 そう問いかけると、ローブを被った者が数名現れた


「あぁ、これは勇者様よ…、どうか我々をお救いください…!」

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